ひめゆり平和祈念資料館(島袋淑子館長、糸満市)の入館者が、23日で2千万人を超えた。今年で開館25年。年間平均で約79万人が訪れたことになる。

 戦前の沖縄師範学校女子部、県立第一高等女学校は沖縄戦で消滅した。平和祈念資料館を運営するひめゆり同窓会には、戦前の在校生以外に、後を託す後輩がいない。

 軍看護要員として戦場に動員され、九死に一生を得た女生徒は現在、全員が80歳を超える。沖縄戦を体験していない若い説明員が、記憶を継承し、体験者に代わって戦争の実相を語り継いでいく試みがすでに始まっている。

 沖縄戦から来年でちょうど70年。戦争体験者は年を追うごとに減り続けている。2012年の国勢調査では、65歳以上の老年人口は17・4%だった。

 戦場の記憶を明瞭に語ることのできる体験者は今や、県民の1割にも満たないのではないか。

 NHK放送文化研究所が実施している沖縄県民意識調査によると、沖縄戦への思いについて「忘れてはならない」と答えた県民は1977年には64%だったが、その後、増加傾向が続き、2012年には91%に達した。

 時がたつほど「忘れてはならない」という思いが強くなっているのである。

 現在、沖縄戦体験者の多くに共通するのは、平和が脅かされているという実感、再び戦争が起こるのではないか、という懸念や不安である。

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 ひめゆり平和祈念資料館の島袋館長は言う。「最近は少しずつ入館者が減っている。平和憲法が変えられようとしている中、たくさんの人に来てもらい、平和を守る人が一人でも増えてくれたらうれしい」。

 戦争体験の世代間継承の問題は、沖縄にとって極めて切実である。沖縄の若い世代には、小・中学校のころの平和教育の「マンネリ」を指摘する声もある。何を、どのように、次代に伝えていくべきか。あらためて議論を喚起する必要がある。

 米軍基地については、専用施設の74%が沖縄に集中していることについて「おかしいと思う」「どちらかといえばおかしいと思う」が合わせて86%に達した。

 「全面撤去」と答えた人が減った半面、「本土並みに少なく」と答えた人は、1992年の47%から2012年には56%に急増した。このことは、基地の過重負担を問題にする方向に世論が収れんしつつあることを示している。

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 その点で興味深いのは、県が12年秋に実施した県民意識調査の結果である。米軍専用施設の約74%が存在していることについて、差別的な状況だと思うかどうか聞いたところ、「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」を合わせ73・9%に達した。

 沖縄の過重負担を前提にした安全保障政策に対して県民は、明確に「ノー」だと主張しているのである。米軍普天間飛行場の辺野古移設が民意に反するのは明らかだ。