「危険なので近づかないで」。海上保安庁のゴムボートが拡声器で怒鳴りながら危険なほどの猛スピードで近づいてくる

▼基地建設が始まった名護市辺野古の海。取材船で出港すると、あっという間に大勢の職員が乗った警備艇に囲まれる。工事区域を示すフロートまで500メートル以上あっても「もっと下がって」の一点張り。法的根拠のない指示を繰り返し、波の荒いリーフの外側に威圧的に追い散らす

▼抗議行動のカヌーに対し「このままだと岸の方に流されて危険です。離れて」という耳を疑うような警告もあった。岸は安全なはずなのに、米軍基地には漂着さえ許さない強硬姿勢の海上保安官。生命や海の安全ではなく、何か別のものを守っているように思えてならない

▼海保は沖合の長島に立ち入り禁止の看板を立てた。だが休日には島に上陸し、断崖で遊ぶ米兵が確認できる。海上やゲート前がどれだけ緊迫しようが、米軍は気にも掛けていないようだ

▼厳重警備の工事区域内では、しばしば米兵がシュノーケリングに興じている。取材や抗議の船よりもはるかに危険に思えるが、防衛局も海保も何も言わず黙って見ているだけだ

▼「属国やっさー」。取材船の船長がつぶやいた。10隻以上の巡視船と数十隻の警備艇が守る米兵の水遊び。辺野古の海からは、この国の姿がよく見える。(田嶋正雄)