沖縄県が2019年度末にも着工を目指す沖縄本島への鉄軌道導入計画。県計画案を16年度末までにまとめるなど、“夢の実現”に向けた作業を進めている。ただ、計画の実現には莫大(ばくだい)な予算がかかる。そのため、県は国に対して「整備新幹線方式」をモデルとした特例制度の制定を求めている。「整備新幹線方式」とはどういうしくみなのか、導入した場合の財政負担や運営方式のスキームの特徴をまとめた。(石川亮太)

整備新幹線方式による整備スキーム

 整備新幹線とは、全国に新幹線を整備することで経済発展や国民生活領域の拡大、地域振興を目的とした「全国新幹線鉄道整備法」に基づいて整備された5路線(北海道、東北、北陸、九州新幹線の2路線)の新幹線を指す。

 その整備方式は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が車両以外の線路やトンネル、橋などの鉄道施設を建設、保有し、営業主体のJRに施設を貸し付ける「上下分離方式」で運営されている。施設整備の財源は、営業主体のJRが支払う貸し付け収入(新幹線整備による増益約30年分)を充てた残りを国が3分の2、地方自治体が3分の1を負担するしくみ。ただ、地方が負担する部分は国からの交付税を充てることができるため、実質負担を全体の1~2割程度に軽減することが可能だ。

 例えば、北陸新幹線の一部区間、金沢-敦賀間(114キロ)が通過する福井県では、同県が負担する対象区間の事業費は約7800億円。だが、実質の負担は全体の約1割強の約800億円になると試算されている。福井県はそれを45年間で償還する計画だ。

 既存鉄道がないことや地方自治体の財源力などで地方交付税措置の割合などに多少の違いが出る。仮に、福井県の財源スキームをそっくりそのまま沖縄県が2012年に調査した那覇-名護間約69キロ(総事業費5600億円)に当てはめてみると、実質負担は557億円程度となる

 県は、営業主体や地方の負担をできるだけ軽くし、長期的に安定経営をするためには「この制度しかない」として、8月にあった国庫要請でも仲井真弘多知事が政府に要請。内閣府は本年度、県が求める上下分離方式を参考にした特例制度の調査、検討に着手する。8月末の2015年度予算の概算要求にも15年度以降の調査費を計上する方針だ。

 戦後に鉄道の復旧から取りかかった本土と異なり、本格的な鉄軌道が整備されていない沖縄が同制度の活用を主張するのは「決してすごいことを求めている訳でない」(県交通政策課)として国の“英断”を待ちわびている。

 県は計画案をまとめるため、この夏以降、県民への情報提供と意見の集約を目的とするパブリック・インボルブメント(PI)を3段階に分けて実施、検討のあり方や体制づくり、複数ルート案を決定する。