非婚のシングルマザーにも寡婦控除があったものとみなして保育料などを安くする市町村が、少しずつだが着実に増えている。

 本紙の調査で県内41市町村中、26市町村で保育所・幼稚園の保育料や公営住宅の家賃をみなし適用していることが分かった。

 寡婦控除は夫と死別か、離婚して再婚していない人が子どもを扶養している場合、所得から一定額を控除し税額が軽減される制度である。結婚せずに子どもを育てるシングルマザーには適用されない。

 所得税、住民税とも控除額は30万円前後。保育料や家賃は、収入から控除分を引いた所得によって決まるため、母子世帯でも負担に差が出る。

 法律上の結婚をしたかどうかで線引きする制度には、旧来の家族観が色濃く残る。それは非婚の母に対するまなざしにもつながっている。

 腰が重い国に代わって自治体が独自の支援に動きだしているのは「同じ所得で扱いが異なるのは不公平」という制度の矛盾に気付いたからだろう。住民に近い行政の皮膚感覚である。

 最高裁は昨年、結婚していない男女間の子の遺産相続分を法律上の夫婦の子の半分とする民法規定に対し、「法の下の平等を定めた憲法に反する」と違憲判断を下した。

 「子どもに選択の余地がない理由での差別は許されない」との最高裁の考えに基づけば、当然、寡婦控除についても法改正による根本的な解決が必要だ。   

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 2013年度県ひとり親世帯等実態調査によると、県内の母子世帯数は2万9894で全世帯に占める割合は5・46%。母子世帯の12・2%が「未婚」である。

 調査からは、働くシングルマザーの半数が非正規雇用で、平均年収は155万円という厳しい現実が浮かび上がる。経済的な不安を口にする人は多く、「子どもを塾に通わせたいが、通わせていない」と4割が回答するなど切実さが伝わった。 

 経済上の問題と同時に気になったのは、ひとり親を支援する相談窓口や事業の認知度である。

 「児童扶養手当」や「医療費の助成制度」は一定程度知られているものの、修学資金としても使える「母子・寡婦福祉資金貸付金」や、看護師などの資格取得をバックアップする「高等技能訓練促進費」などの認知度は低かった。

 苦しいからこそ使ってほしい支援メニューであるが、周知のあり方に課題を残した。

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 ひとり親世帯全般への支援策同様、県内のみなし寡婦控除利用者は全県で77世帯にとどまるなど限定的だった。

 非婚であると申告することをためらう人もいるだろう。困っていても役所に行くことを思いつかなかったり、手続きが煩雑で諦めたケースもあると思う。

 特に時間にも経済的にも余裕のない若いシングルマザーたちは、社会から孤立しがちだ。彼女たちにどうしたら必要な情報を届けることができるのか、真剣に考えてほしい。

 役所の積極的なアプローチに救われる人は多い。