「信じられない飛躍に驚いている」。県の諸見里明教育長は満面に笑みをたたえ、子どもたちの努力をたたえた。「最下位」という言葉に心理的にがんじがらめになっていた教育関係者にとっては、呪縛を解くような快挙に違いない。

 文部科学省は、全国の小学6年生と中学3年生を対象に実施した2014年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を発表した。

 沖縄の小学校(公立)の算数Aの平均正答率は、昨年の最下位(47位)から6位に急上昇し、全国平均を初めて上回った。国語A、国語B、算数Bも順位を上げ、調査開始以来初めて、全科目(4科目)で最下位を脱した。

 沖縄の中学校は、昨年に続き全科目で最下位だったが、全国平均との差は縮まっている。

 全国的に学力の底上げ、平準化が進んでいる。とりわけ沖縄の改善はめざましい。なぜ、目に見える改善が実現できたのか。

 最下位脱出を最重要課題に掲げた県教育庁の危機感を持った取り組みが功を奏したのは確かだ。

 県教育庁は昨年11月、学力向上推進室を設置。教員出身の指導主事らが小学校120校を訪問し、分かりやすい授業づくりを支援した。

 学力上位の秋田県と教員交流を重ね、「子どもに積極的に意見交換させる」などのノウハウを取り入れた。

 無解答率の高さを改善し、正答率30%未満の児童をなくすという取り組みが全体の底上げにつながったといえる。

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 だが、喜んでばかりはいられない。急速な近代化が光と影を生み出すように、学力向上対策にも光と影がある。

 点数を上げるため学校現場では、過去の学力テストの問題を解かせる「過去問対策」を重視し、通常の授業時間がそのために割かれる。補習の時間が増え、校内行事の練習に充てられる時間も削られた。小学校の運動会などで団体演技に練習不足のばらつきが目立つのは、練習時間が十分に確保できないからだ。

 家庭訪問は、授業時間に影響を与えないようにとの配慮から、夏休みに実施するようになった。

 限られた時間、限られた要員をどのように配分するか。テスト偏重のあまり学習環境にひずみは生じていないか。この機会に学力向上対策の光と影を冷静に分析する必要がある。

 子どもの貧困が問題になっている沖縄の場合、児童・生徒の間に意欲格差が生じないような、機会の平等に配慮した取り組みが重要だ。

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 小学校、中学校とも全国的に国語の記述式問題の正答率が低かった。

 テストと同時に実施した児童・生徒アンケートでは、携帯電話やスマートフォンの使用時間が長いほど成績が低い傾向も明らかになった。新聞を読む頻度とテスト結果を文科省が分析したところ、よく新聞を読む子どもの方が平均正答率が高いとの結果も出た。

 学校や家庭でまとまった文章を読み、考え、自ら書く機会を増やしていきたい。