皆さんは、足のむくみを経験したことはないでしょうか。足のむくみが気になって病院を受診する人は、少なくないと思います。私の病院でも月に4~5人は、そういうことで来院しますが、皆さん同じように「私は心臓、肝臓、腎臓が悪いのではないでしょうか?」と聞かれるのです。

 実際にそのような臓器の障害によって、むくみが生じることがあるのですから、そういうことで悩むのは無理ありません。しかし大多数の患者さんが、特定の臓器の障害でむくみをきたしているわけではありません。いろいろ検査しても、これといった疾患は引っかからないのです。

 ではなぜむくみが生じるのでしょうか。それは2つ原因があります。

 1つは患者自身がいつもいすに座っているとか、ずっと立ち仕事であまり動かないことによるものです。血液は動いているとそう問題はないのですが、ずっと同じ姿勢でいると体の底部に血液のうっ帯を生じ、そして水分が組織に染み出してくるのです。東京から沖縄の便で、2~3時間座っていたら、着陸時には足がパンパンに腫れて歩くことができなかったという人もいました。したがってずっと同じ姿勢でいるのではなく、時々は歩くことが肝心ということです。

 もう1つの原因として、水分の過剰な取りすぎがあります。一般の人の誤解していることは、水分は体に必要なものだからできるだけ多めに取ると考え、1日に2~3リットルの水を飲み干してしまう方がいます。余分な水分は、尿、汗として排出されなければ、重力の影響を受け体の底部にたまります。体の底部に位置するのが下肢(足)というわけです。

 一方、水分が欠乏してしまうと血管が詰まりやすくなり脳梗塞や心筋梗塞を起こしたりします。そのあたりの水分の摂取量というのは表裏一体で、少なくてもいけないし、多いとなお悪いということになるのです。

 自分にあった適当な水分量を摂取することは、大変難しいことといわねばなりませんが、夏場は発汗量が多いため水分を多めにとり、冬場は控えめに取るということを心がけましょう。

 十分にのどの渇きを潤せればいいのであって、ただむやみに水分を取るということ自体が、体に良いとは限らないのです。適度な水分摂取を心がけ、適度な運動をすることがむくみの予防になるのです。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。(具志堅政道・具志堅循環器・内科)