家庭の教育費負担の軽減を図るため、大学生や専門学校生への奨学金の無利子枠が拡大される。文部科学省が、来年度概算要求に必要経費を盛り込む。

 かつて日本育英会と呼ばれていた日本学生支援機構が、大学生らに貸与している奨学金の無利子枠が3万人分増え47万1千人になる。有利子枠は1万8千人減らし93万9千人。トータルでは141万人が利用できる。

 内訳は有利子が66・6%、無利子が33・4%。文科省は「有利子から無利子へ」の流れを加速させたいとする。

 日本では、これら貸与型の奨学金が主流である。先輩からの返還金を後輩の奨学金に充て、将来にわたって多くの学生を支援していく仕組みを取っているからだ。

 貸与型とは別に返済義務のない奨学金が給付型である。

 子供の貧困問題が深刻化する中、世代を超えて貧困が連鎖するのを断ち切ろうと政府が作る「子供の貧困対策大綱」の当初案には、大学や専門学校で給付型奨学金の創設を目指すとの文言が盛り込まれていた。最終的には、財源のめどが立たないとして給付型には踏み込んでいない。

 文科省も給付型奨学金の導入を、財務省の抵抗で断念している。

 奨学金は、今や大学生の2人に1人が利用する、なくてはならない制度である。進学を後押しするものとして定着する一方、就職難や非正規雇用といった卒業後の収入の問題から、返済に苦しむ人も増えている。

    ■    ■

 日本の貸与型奨学金は、大学を卒業すると正社員になって、賃金は年々アップし、簡単には解雇されないという雇用システムを前提に成り立っている。

 学生たちも借りる時は、就職したらすぐに返せると思ったに違いない。

 文科省が今月公表した学校基本調査によると、この春大学を卒業した学生の就職率は69・8%(非正規雇用含む)。非正規にアルバイト、進学も就職もしていない人を合計した「安定的な雇用に就いていない人」の割合は18・6%だった。

 借りたものを返すのは当たり前で、自己責任という声もある。だが社会人になった途端の三桁の「ローン」は、若い世代には重い。まして収入が不安定で低ければ生活すら維持できない。返せないうちに延滞金が膨らめば、それこそ人生を左右する。

    ■    ■

 安いと思われている国立大学でも、年間の授業料は約54万円、入学料の約28万円を足すと、初年度は80万円余りが必要になる。学費が高いため借りざるを得ない状況があることにも目を向けてほしい。

 経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、日本は教育への公的支出が低いと言われ何年もたつ。特に「幼稚園と大学で私費負担の割合が高い」と指摘されている。

 意欲と能力にあふれる若者が返済の不安から、利用をためらうようになったのでは奨学金の意味がない。 

 無利子枠の拡充から、さらに一歩踏み込んで給付型の導入に結びつけるべきだ。