「働く」の語源には、「ハタ」、つまり「周囲」を楽にするとの俗説がある。家族や取引先、顧客に心地よい「楽」を広げられるのは、提供側に仕事や職場の満足感があってのこと。「周囲」には、働く人自身も含まれよう

 ▼金融緩和政策で、カネの価値が下がり、モノの価値は上がった。理論的には、モノを作る人の価値も高まることになる。失業が減り、求人は増え、給与も上がって…となる

 ▼デフレ期の安い賃金を見直し、人材確保のため正社員への切り替えを進める企業も相次いだ。コスト増は覚悟の上で、福利厚生やキャリア制度を充実し、働く場の魅力を高める努力もある

 ▼仕事が毎日楽しくてしょうがない人がいっぱいで、やりがいもびっしり詰まっているという職場はまれだろう。魅力づくりに取り組み始めた企業は、どうすれば人を引きつけ、力を高め発揮してもらえるか、働く一人一人の満足に着目しているようだ

 ▼高い離職率の改善が望まれる沖縄では、県が「雇用の質」の向上を目指し、働く環境の実態調査を始める。課題を浮き彫りにすることは大事だが、何より経営者の考えと実践なくしては改善に結びつかないだろう

 ▼「辛」と「幸」の字は、横線一つで大きく意味が異なる。働く人は、経営者の工夫を凝らした追加の横棒に視線を注いでいよう。(宮城栄作)