ストーカーやドメスティックバイオレンス(DV)について警察庁は「恋愛感情のもつれに起因するトラブルは、殺人などの凶悪犯罪にまで急展開する危険性をはらんでいる」とホームページ上で注意を喚起している。

 警察庁は、2015年度からストーカー・DV対策の強化に乗り出す。被害者がホテルなどに一時避難する際の宿泊費を全額補助する方針を決め、来年度予算の概算要求に約7500人分の宿泊費を盛り込んだ。

 緊急性を要する被害者に避難を促すことで殺人など凶悪事件に発展することを防ぐことが狙いだ。警察庁は昨年のストーカー・DV被害のうち1割強の被害者に緊急避難が必要だったと試算している。さらに3年間でストーカー・DV対策で地方警察官を2千人増員する方針だ。

 ストーカー規制法が2000年、DV防止法が01年に成立し、その後、それぞれ改正法が施行されたにもかかわらず、事態は深刻化している。

 全国の警察が13年に把握したストーカー被害件数は、前年比5・9%増の2万1千件、DVも同12・7%増の4万9千件で、いずれも過去最悪だった。対策の強化は待ったなしの状況だ。

 東京都三鷹市で昨年10月、女子高校生が元交際相手の男に刺殺された事件では、女子高生が事件直前、警察に相談したが、防ぐことができなかった。警察の対応の遅れが厳しく問われたが、切迫した状況を適切に判断し、最悪の結果を回避するためには、あらゆる手だてが必要だ。

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 今月5日、ストーカー行為の規制の在り方を考える警察庁の有識者検討会が、ストーカー規制法の罰則強化などを盛り込んだ報告書をまとめ、同庁に提出した。

 検討会では、LINE(ライン)などソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を使った執拗(しつよう)なメッセージ送信を新たに規制対象とするよう求めた。

 昨年施行された改正ストーカー規制法では、加害者が、悪質なメール送信を繰り返すことをつきまとい行為に追加した。

 その後、SNSの普及によってネットを使ったストーカー行為は、復讐(ふくしゅう)目的でプライベート写真などを流出させる「リベンジポルノ」など、より深刻化している。通信手段の発達に対応し、柔軟な法改正で被害を食い止める対策が急がれる。ストーカー被害者の大半を占める若者向けの啓発も欠かせない。

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 ストーカー・DV対策で重要なのは、被害者保護と同時に加害者対策である。検討会は、医療機関と連携した加害者の更生プログラム実施を検討することを提言した。

 加害者の治療に取り組む精神科医は、再犯を重ねる加害者を「ストーカー病」の患者と言い、病気ととらえた上での治療の必要性を説く。

 沖縄県警を含む全国の警察本部は、相談窓口だった生活安全部門に、凶悪事件に対処する刑事部門を加えて一元的に対応する仕組みを整えた。実効性ある対策で被害を防ぐことが社会的要請である。