内閣府は、2015年度の沖縄振興予算として3794億円を財務省に概算要求した。14年度当初予算に比べ293億円(8・4%)の増となる。

 内閣府の後藤田正純副大臣は29日、那覇市内で開かれた会合に出席し、「財政的に厳しい県もある中で、沖縄はうらやましがられている」とのたまった。

 後藤田副大臣は何が言いたかったのだろうか。「沖縄県民は政府の温情にもっと感謝すべきだ」と言いたかったのか、それとも「これも仲井真弘多県知事のおかげだから、知事選は一つよろしく」と言いたかったのだろうか。

 内閣府幹部に至っては、新基地建設に反対する知事が誕生した場合、「予算の蛇口は絞る」と露骨に脅しをかける。

 昨年12月25日、安倍晋三首相と会談した仲井真知事は、会談のあと記者団の取材に答え、「有史以来の予算」「いい正月になる」と言ってのけた。名護市辺野古の埋め立てを承認したのは、その2日後の27日のことである。

 内閣府の今回の概算要求の特徴は、昨年12月の安倍首相の振興予算確保発言と、知事の埋め立て承認と、11月の県知事選の三つが、深く連動して浮上したことである。

 普天間飛行場の返還合意以降、「基地マネー」がさまざまな形で沖縄に投入され始めた。基地と振興策の「リンク論」が公然とささやかれるようになり、沖縄振興予算は基地受け入れの「見返り」「懐柔策」としての性格を帯びるようになった。

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 このような予算の付け方は、沖縄内部の対立を助長し、誇りや自立心を失わせ、地域の健全な発展を妨げるだけである。

 琉球銀行調査部が編集した『戦後沖縄経済史』は、米軍統治下の経済政策を紹介したあと、こう指摘している。

 「沖縄における経済政策は純粋にそれ自体が重要な課題とされたことはなく、基地の安全保持という至上の命題を確保するための“手段”として第二義的な意味合いしか付与されてこなかった」

 問題は、軍事植民地といわれたころの基地維持優先の政策が、ここに来て露骨になってきたことである。

 国が策定した復帰時の沖縄振興開発計画の中には「国の責務」が明記されていた。各分野で生じた本土との格差を、償いの心をもって是正し、沖縄の自立的発展に向けた基礎条件を整備する-それが沖縄振興の目的だったことを忘れてはならない。

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 普天間問題が浮上して以降、「沖縄を甘やかすな」との、歴史と実態を無視した暴論が、本土側から頻繁に伝わってくるようになった。

 だが、安全保障政策について、ほんとに甘えているのは誰なのか。

 戦後この方、安全保障政策の負担と犠牲をどこよりも負ってきた地域はどこなのか。

 理不尽な圧力に屈してはならない。

 政府が、金と基地をセットにして新基地の受け入れを迫るようであれば、のしをつけてお返ししよう。