全国学力テストで県内小学生の成績が全国最下位を脱した。県教育長が記者会見で、教育行政や学校の取り組みの成果を満面の笑みで語っていた

 ▼最下位の要因は家庭や生活習慣ではなかったのかと、つい意地悪な見方をしたくなる。それらのデータに大きな変化はない。「手柄」に浮かれるのではなく、公教育の責任の重さを再認識してもらいたい

 ▼9年前からいくつかの公立小学校を継続的に取材し、さまざまな教師や子どもを見てきた。自信が持てず引っ込み思案だった子や「夢なんかない」と何事も諦めていた子が根気強く寄り添う教師に支えられて毎日補習に通い、意欲を取り戻す現場にも立ち会った

 ▼特に下位の子たちの「底上げ」に力を入れた1校は今回、全科目で県平均も全国平均も超えたという。格差を縮めたことが全体を押し上げた。単なる統計上の数字ではなく、それぞれ事情を抱えた子どもたちの顔が浮かび、こちらまでうれしくなった

 ▼一方で小中学校が学力テスト偏重になりつつあるのは確かだ。「促成栽培の学力」がはがれ落ちないかという心配もある▼最下位脱出を契機に、学力テストのためではない教育を考えたい。やっとの思いで問題を解いた子のうれしそうな表情、学びの楽しさに没頭している子の目の輝き…。点数以上に大切なものがある。(田嶋正雄)