那覇市には今年、大型モニュメントが次々と登場した。牧志の希望ヶ丘公園内にある重さ約7トンの那覇大綱、安里のさいおんスクエアに設置された全長14・5メートルの那覇爬龍(はりゅう)船。さらに現在、若狭に高さ約15メートルの龍の柱建設も進む。市は「那覇の新たなシンボルとして必要だ」と主張するが、市民から「税金の無駄遣い」などの声もある。関係者の考えを聞いた。(社会部・吉川毅)

爬龍船のモニュメント。ベンチはたくさんあるが、座ってひと休みする観光客の姿は見れなかった=8月26日午後6時ごろ、那覇市安里のさいおんスクエア

大綱のモニュメント。周囲を囲う柵の中は進入禁止で、実際に触ることはできない=8月26日午後5時ごろ、那覇市牧志の希望ヶ丘公園内

爬龍船のモニュメント。ベンチはたくさんあるが、座ってひと休みする観光客の姿は見れなかった=8月26日午後6時ごろ、那覇市安里のさいおんスクエア 大綱のモニュメント。周囲を囲う柵の中は進入禁止で、実際に触ることはできない=8月26日午後5時ごろ、那覇市牧志の希望ヶ丘公園内

 「那覇の新たなシンボルとして活性化に大きく寄与する」。今年4月、翁長雄志市長は、二つのモニュメントの同時完成を祝った。

 市の2大祭り「那覇大綱挽(ひき)」と「那覇ハーリー」の魅力を伝えたいと、一括交付金を活用して大綱に約5千万円、ベンチ型の爬龍船には約2千万円をかけた。完成セレモニーで那覇大綱挽保存会の比嘉稔会長は「祭りは年1回だが、ここに来たらいつでも大綱に触れられる」、那覇爬龍船振興会の嶺井政治会長は「多くの人にハーリーの躍動感を感じてもらいたい」と話した。

■にぎわいなし

 完成から約5カ月。現場に足を運ぶと、関係者が期待するにぎわいはなかった。

 市の活性化に携わる男性は、記者から爬龍船モニュメントの予算額を聞いて驚いた。「まだ一度も見に行ったことはないが、ベンチがそんなに高いのか。活性化の関係者には市から事前説明があってもいいと思うが」と苦笑い。

 平和通りで雑貨を販売している女性は「大綱にいつでも触れられると言うが、進入禁止になっている。ツアー客や修学旅行生が大綱に乗って写真が撮れるほうが観光スポットになるのに」との提案も。

■「街の顔」強調

 市企画調整課に設置の意義について聞いた。

 担当者は「那覇は、首里城を除けばショッピングや空港に近いだけの便利な街でしかない。リゾート地に素通りされるだけの地位に甘んじてきた」などと説明。「中心市街地に観光資源となるモニュメントを設置することは観光都市の新たな顔を明確にするものだ」と主張した。

 効果については「モニュメントの単体効果を測定できないが、設置をきっかけにした商品開発などの民間の動きも刺激できるはずだ」と話す。

■拠点になるか

 琉球大学観光産業科学部の下地芳郎教授は「那覇といえば、琉球王国時代からの歴史文化が強み。それを観光資源としていろんな形で活用するのは必要なことだが、問題は手段と効果だ」と説明する。

 ローマの小便小僧、渋谷のハチ公の像などを例に挙げた上で「それぞれの土地に代表的なスポットがあり、そこが待ち合わせの場所、行動の拠点になるはずだが、那覇のモニュメントもそうならないと大きな効果は期待できない」と指摘。「観光向けではなく、地元の人が触れて県民の財産として活用することが大きな視点。県民も観光客も総合的に、持続的に集まる仕組みが必要だ」と話した。