家庭で放任され、学校では勉強についていけず居場所がなく、地域の仲間に心のよりどころを求めれば「先輩」から絶対的服従関係を強いられ、非行を重ねていく-。

 沖縄少年院を仮退院する少年46人を対象にした2013年度の調査で、少年たちの生育歴や非行に至る経緯、家庭・学校・地域環境が明らかになった。

 少年たちの姿から見えてきたのは、貧困をはじめとする大人社会のひずみが、分別の十分身についていない子どもに多大な影響を及ぼしている現実だ。大人は何ができるのか、重い問いが突き付けられた。

 今回の調査は、法務省九州地方更生保護委員会第3部の委員2人が、今後の非行対策の一助とするため分析した。

 対象少年の生活程度は、生活保護レベルの貧困家庭が約61%を占め、全国の少年院入所者の2倍以上に達した。養育環境は29人が放任で、児童虐待の一つであるネグレクト(育児放棄)と思われる環境もあった。

 経済的な苦境で親が生活に追われる中で、幼少のころから放任され、しつけもほとんどされず、その結果、最初の非行(初発非行)が分かっても放置されてきた。

 非行を始めた時期は小学6年生以下が36人を占め、5歳も2人いた。低年齢化は沖縄の少年非行の特徴の一つだ。ここで適切な指導を受けられれば、非行の芽を早めに摘むことができる。しかし、調査した委員は「教育的な指導を受けた形跡はなく、窃盗の常習化につながっている」と指摘する。

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 調査は、少年たちが暴力の中で生きてきた実態をも浮き彫りにした。

 家庭ではネグレクトかそれに近い放任状態のほか、身体的な暴力や暴言の中で育てられていた少年が16人いた。

 家族から暴力を受けたと答えた少年は31人。安心できるはずの家庭に居場所がなく、小学高学年のころから深夜はいかいや無断外泊を繰り返すようになっていく。

 地域の先輩や遊び仲間からも、ほぼ半数が暴力を受けていた。

 地域には、中学校区を単位とする非行少年のグループが結成され、卒業後も厳格な上下関係が続いていく。先輩から日常的に殴られていくうちに、少年自身も後輩に暴力をふるうことに抵抗がなくなってしまうという。

 ここで暴力を断ち切らなければ負の連鎖は、家庭や地域で連綿と続くことになりかねない。

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 分析した2委員は初発非行への厳密な対応、貧困・放任・ネグレクト家庭への支援、不登校児童の解消・夜の居場所の設置、地域不良集団の再教育、ひとり親世帯への支援充実-など8項目を提言した。

 教育や福祉、労働、矯正教育などの関係者らが連携し、具体的に検討してもらいたい。

 一部の少年たちの問題だと特別視していては解決はおぼつかない。県民全体で問題を共有することから取り組みが始まる。