首相官邸であった組閣後の大臣会見を初めて取材した。次々に閣僚が会見場に入っていくつかの質問に答えては、出ていく。数百人はいるだろう記者も入れ替わり、立ち替わり移動する。慣れていない身には、気おされる雰囲気だった

▼その中で気になっていた。大事な「顔見世(みせ)」の舞台だが、テレビの前の国民、県民に、安倍晋三首相らの言葉は重みを伴って響いたかと。ふわふわとした空虚な感覚を覚えた人も多かろう

▼「アベノミクスの効果を全国津々浦々に」。聞き慣れたフレーズである。円安による原材料高などの負担がのしかかる地方の中小企業経営者には、疑問符が浮かびそうだ。「津々浦々に我らの地域は含まれるのか」、と

▼沖縄については基地問題で出てくる。「沖縄の人の気持ちに寄り添って」とか、「県民に丁寧に説明して」とか。辺野古で工事を強行する姿勢との違いに、開いた口がふさがらない人も多かったに違いない

▼過去の会見を振り返っても、質問に正面から答えず、言いっ放しの印象が残っている。異論には「見解の相違」と切り捨てたこともあった

▼消費税の再引き上げや安全保障政策など、生活や将来に関わる重大テーマが続く。安定した政権基盤を背景に、強硬な政治手法は変わらないだろう。耳に快い言葉には引き続き注意しておきたい。(宮城栄作)