プロテニスのかつての人気選手をコートサイドで見かけることが多くなった。コーチとしてである。今年のウインブルドン大会は、1988年から3年連続で決勝を戦ったステファン・エドバーグとボリス・ベッカーのコーチ対決が話題になった

 ▼米国の名選手マイケル・チャンもその一人。小柄ながらも闘志あふれるプレーで、どんなボールにも食らいつく粘り強さを武器に活躍した

 ▼1989年の全仏オープン4回戦、強打を誇る王者イワン・レンドルに意表を突く下手打ちのサーブを放ち、観客を驚かせた。この大会でレンドル、エドバーグの強豪を撃破、17歳3カ月の四大大会最年少で優勝した

 ▼チャンが指導する錦織圭(24)が全米オープンで、戦後初の四大大会ベスト4に進出した。同大会の準決勝進出は96年ぶりの快挙だ

 ▼コーチのチャンの存在は大きい。猛特訓で肉体、精神ともに徹底的に鍛え直した。強豪と戦ってきた経験を生かし、トップ選手と戦える技術と戦術、自信を植え付けた

 ▼準決勝は世界ランキング1位のジョコビッチと対戦する。チャンは常に「相手が世界1位でもたたきつぶすつもりで行け」と指示している。「諦めない心」が分かれ目になるだろう。元世界ランキング1位のジョン・マッケンローはこう言っている。「チャンピオンは諦めない」と。(与那原良彦)