「食物繊維の働きで糖の吸収を穏やかにする」「茶カテキンを豊富に含み、脂肪を消費しやすくする」と聞いて、どんな食品が思い浮かぶだろうか

 ▼この文言が書かれる可能性があるのは、店頭で酒類棚に並ぶノンアルコール飲料。内閣府消費者委員会がトクホ(特定保健用食品)表示は不適切だと答申したばかりなのに、消費者庁は一転、許可する方針だそう

 ▼健康とは縁遠そうなコーラが認められヒット商品に成長したのだから、企業がノンアル飲料に商機ありとそろばんをはじくのはさもありなん。休肝日が欲しい腹回りを気にする中高年には朗報かもしれない

 ▼懸念されるのは健康に役立つと飲んだ未成年者を飲酒へと誘発しかねない、という消費者委のもっともな意見だ。消費者庁とは名ばかりで、好奇心旺盛で未成熟な消費者を守るより、経済を優先させる判断にみえる

 ▼来春には、原則医薬品にしか認めてこなかった「肝臓の働きを助けます」「膝の滑らかな動きをサポートします」といった体の部位への効能をうたう表示制度も企業責任で解禁される

 ▼健康食品をめぐっては虚偽表示や誇大広告が問題になるのに、新制度は国の審査・許可制ではなく届け出制で監視の目が緩む。健康食品市場の拡大を成長戦略の一つに掲げる安倍政権は、食品分野にも自己責任を導入する。(与那嶺一枝)