沖縄の民意がどうであれ、辺野古への新基地建設を強行するという、あからさまな威圧である。基地負担軽減担当相という立場に反する発言であり、到底納得できない。

 菅義偉官房長官が10日の記者会見で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について「昨年暮れに知事が埋め立てを承認し粛々と工事を進めている。この問題はもう過去のものだ」と述べ、11月の知事選の争点にはならないとの見方を示した。

 7日の名護市議選で、定数27のうち辺野古への新基地建設に反対の候補が16人当選し、過半数を維持した。地元の民意があらためて示されたばかりである。

 辺野古の海で政府が埋め立てに向けたボーリング調査を強行していることに対し、海上やキャンプ・シュワブのゲート前で、反対派の市民による抗議行動が続いている。まさに現在、進行しているのである。それを「終わったこと」だと言える発想が信じられない。

 翁長雄志那覇市長が、10日の市議会本会議で知事選への出馬を表明した。知事選は、すでに出馬を表明している仲井真弘多知事、下地幹郎元郵政民営化担当相との争いになる予定だ。

 政府の狙いは、知事選までに工事を急ぎ、移設を既成事実化することで辺野古移設の争点化を避けたいというものだ。

 だが、民意を無視した強硬なやり方は、県民の反発を招き、むしろ争点をより明確にすることになるだろう。

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 辺野古移設をめぐっては仲井真知事が求める「普天間の5年以内の運用停止」が、次第にほころび始めている。

 まず、米国側が否定的見方を繰り返し述べていることだ。7月に政府が示したオスプレイの佐賀空港への暫定移駐案は、米側が難色を示したことで、発表からわずか2週間あまりで、移駐を見送る方針を決めた。

 5年以内の運用停止は、昨年12月の沖縄政策協議会で知事が唐突に安倍晋三首相に要請した。その後会談で首相は「危険性除去が極めて重要という認識を共有している」と述べたが、口頭での「口約束」である。

 江渡聡徳防衛相は9日の会見で「5年以内」の起点についてさえ「まだ決まっていない」と述べた。曖昧にしておくことで責任回避を図る狙いがあるなら、知事と首相の「約束」は空手形になる可能性がある。

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 仲井真知事は埋め立て承認以前、「辺野古に固執するのではなく、もっと早く現実的に移設できる県外の場所を探すべきだ」と主張していた。

 むろん「5年以内の運用停止」が実現するならいい。だが、それは同時に普天間の運用停止の手段として辺野古移設以外の選択肢を見いだせるということだ。

 そうなれば、知事がかつて述べていたように、辺野古移設に固執する根拠はなくなるはずだ。次世代にまで負担を負わせる新基地を建設せずに普天間返還を実現することこそ「目に見える形の負担軽減」である。