ことし5月に100歳を迎えた宜野湾市の石垣清(きよ)さんが10日、那覇市内で開かれた吟詠大会に登壇した。“80の手習い”で始めた詩吟。情景を思い浮かべて詠む世界に引かれ、気が付けば20年がたった。70歳以上の今大会は周囲に勧められた初の舞台。約400人の聴衆を前にマイクの前に歩み出て、新年の自然の美しさを表現した和歌「春」を披露した。(溝井洋輔)

緊張しながらも堂々と和歌を詠む石垣清さん=10日午後、那覇市・パレット市民劇場

 県内で2回目となる「尚歯会沖縄吟詠大会」。県内各地から70歳以上の約160人が登壇した。石垣さんは、その最高齢だ。

 「春ここに うまるる朝の 日をうけて 山河草木(さんがそうぼく) みな光あり」

 明治生まれの歌人・佐佐木信綱の和歌「春」は、草木がいぶく様子が浮かぶ石垣さんの好む和歌。ゆっくりと2度詠み上げると会場から大きな拍手が湧いた。

 「緊張で少し震えたけど、終わってほっとした」。舞台を降りて渇いた喉をお茶で潤すと、安心したようにほほ笑んだ。

 看護師をしながら2男3女を育て、自分の時間ができた80歳の時「人がやることは何でもやってみたい」と詩吟を始めた。

 漢詩を学べる魅力に引かれ、次第に作者が詩に込めた情景を想像する楽しさも加わった。現在は毎週金曜日、宜野湾市中央公民館で2時間の練習に励む。

 周囲は100歳での舞台に驚くが、石垣さんはまったく意に介さない。「歳のことを言われるのは好きじゃないですね。カジマヤーまでは元気でいられるか不安だったけど、過ぎてからは一日一日を過ごして、気付いたら100歳になっていた」と笑う。

 積み重ねは審査の結果にも出ている。年に2回、課題の歌を暗譜して臨み、今では9段まで昇った。石垣さんが通う、あいち吟声会の指導者・祷(いのり)キヨさんは「石垣さんは新年会や誕生日には仲間に俳句を詠んでくれる。豊かな感性を持ち続ける姿勢が素晴らしい」と言い、周囲に刺激を与えていることを感謝する。

 今後の目標を問うと、石垣さんは「目標はね、きょう一日が元気であればね」と優しい笑顔を見せた。