日本政府が尖閣諸島を国有化して、11日で丸2年となった。この間、日中間の軍事、経済、政治、民間交流を含むさまざまな分野に波及してきた「負の連鎖」を断ち切ることが強く求められている。

 中国商務省によると、今年1~6月期の日本の対中直接投資実行額は24億ドル(約2400億円)で、前年同期に比べてほぼ半減した。日中関係の悪化は、経済にも大きな影響を与えている。

 警備強化にかかる政府コストも大幅に膨らんでいる。

 尖閣諸島周辺の領海警備強化のため、海上保安庁は2015年度予算の概算要求に14年度当初の約2倍に当たる504億円を計上する方針だ。新型ジェット機3機と高性能小型巡視船4隻などの導入を盛り込むほか、尖閣警備の専従チームを完成させるため大型巡視船10隻の新造や増員、尖閣に近い石垣港の施設整備も急ぐ。航空機による24時間の監視体制構築も図り、巡視船の機能を強化する。

 警察庁も尖閣諸島をめぐる日中対立に備え、15年度から沖縄県警の警察官を数十人規模で増員する方針だ。不法上陸など不測の事態に迅速に対応するため増員を図る。

 尖閣問題を念頭に、「島しょ防衛」名目で自衛隊の「南西強化」も進んでいる。陸自は奄美大島、宮古島、石垣島に駐屯所を整備し、警備部隊を配備する。米海兵隊をモデルに新設する「水陸機動団」を長崎県佐世保市から艦艇に乗せ、離島に展開する構想も描く。空自那覇基地のF15戦闘機部隊は1個飛行隊から2個飛行隊に増設する。

    ■    ■

 警戒強化は、中国側の対立感情をあおる側面に留意する必要がある。軍事的な緊張を高める悪循環を断たなければならない。最優先すべきは偶発的な軍事衝突を避ける危機管理システム「海上連絡メカニズム」の運用構築である。

 気になるのは両国の国民感情だ。7~8月に日中両国で行われた世論調査によると、相手国に「良くない印象」を持っていると答えた人の割合は、日本が前年比2・9ポイント増の93・0%となり、05年の調査開始以来、過去最悪となった。中国側は同6ポイント減の86・8%で、対日感情はやや改善したものの依然高率を占める。

 一方、日本で約8割、中国で約7割がそれぞれ相手国への国民感情の悪化を「望ましくない」「改善が必要」と考え、日中関係の悪化を憂慮している。日本側の6割以上、中国側も5割以上が「首脳会談は必要」と回答した。

    ■    ■

 オバマ米大統領は4月の日米首脳会談で、尖閣諸島の主権に関して特定の立場を取らない姿勢をあらためて示し、日中の対話による解決を望んでいる、とアピールした。無人島をめぐる日中紛争に巻き込まないでほしい、というのが米政府の本音だろう。

 沖縄近海を紛争の発火点とすることは許されない。安倍晋三首相は、11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、中国の習近平国家主席との会談を模索している。実現させ、平和共存と互恵が原点であることを確認してもらいたい。