那覇の中心街の魅力は脇道、いわゆるスージグヮーにある。国際通りの雑踏を抜けると喧躁(けんそう)はうせ、空気にも何となく湿りがある。移ろう時もゆったりとしている

▼小学生のころ、那覇市松尾の塾に通っているとき、スージグヮーをよく探検した。思いがけない草地やお墓に出くわし、ムームー姿のおばさんたちが街路に出したいすで夕涼みしている光景もあった

▼写真家の荒木経惟氏が20年近く前に発表した写真集『沖縄烈情』は牧志第一公設市場周辺でも撮影され、独特な空間を映し出していた

▼国際通りにホテルや商業施設が進出する報道が相次いでいる。桜坂の一角にも世界的なホテルブランド「ハイアット」が来年5月に開業する。国際通りに始まった開発の波が広がりつつあるようだ

▼老舗デパートの沖縄三越は21日に閉店する。ランドマークだった那覇タワーも取り壊される。街は生き物であり、常に変貌する。大型投資が活性化につながると分かりつつも、寂しさはぬぐえない。国際通りやその周辺の街の魅力とはなにか-という議論がなければ、大事なものを失いかねない

▼国際通りを歩く。カジュアルな服装の観光客の波に、時折、中国語の会話も響く。筆者のような沖縄顔の中年男は浮いた存在のようだ。「国際通りはどうなってしまうのか」とつぶやいていた。(与那原良彦)