沖縄県立博物館・美術館は12日、琉球史のシンボルである国指定重要文化財、旧首里城正殿鐘(万国津梁の鐘)のエックス線写真を公開した。「全国でもおそらく初めて」という鐘の健康診断で、外見からは分からない薄い部分が見つかった。診断は「要経過観察」。崩壊につながるひびなのか、今後専門家が検討する。

鐘上部のエックス線写真。点線に囲まれた黒い線が金属が薄い部分

 琉球王朝の繁栄を誇る銘文が刻まれた鐘は、1458年の鋳造。沖縄戦で焼かれ、弾痕も残る。安里進館長は「強度が不安だが、科学的根拠はなかった。鐘の音が聞きたい、もっと魅力的な展示を、という要望に応えるため、健康状態を調べた」と説明する。

 鐘上部のエックス線検査では、横に走る約20センチの黒い線が見つかった。金属が薄いことは分かるが、鋳造時に空気が入ったのか、外部の力でひびができたのかは不明。エックス線分析や保存科学の専門家の意見を聞き、似た環境の鐘とも比べて強度を検討する。

 園原謙学芸員は「砲弾が貫通しても壊れなかった奇跡の鐘」と表現。今は展示台に置いているだけだが、強度が確認できれば鐘を鳴らして音を収録したり、つり下げて展示したりすることも検討するという。