新基地建設に向けたボーリング調査が進む名護市辺野古の海。海上保安庁は、市民の発言に敏感に反応し抗議行動を阻む。立ち入り禁止区域を示すブイ(浮標)やフロート(浮具)内への進入者を強制排除する対処法から、現場判断で警戒ラインを引きフロートの外側で事前に食い止める方向へ軸足を移している。(西江昭吾、阿部岳)

オレンジ色のフロートの前に並び、カヌー隊(手前)を排除する海上保安庁の黒色のゴムボート=13日午後1時10分ごろ、名護市辺野古沖

 「きょうは、カヌー隊がスパット台船によじ登るそうだ」

 13日朝、キャンプ・シュワブのゲート前集会。沖縄平和運動センターの山城博治議長は見通しをさらっと語った。

 約1時間後、カヌー隊が沖に出ると、10隻を超える海保のゴムボートが、フロートの手前で列をなして待ち構えていた。

 「フロートから300メートル以内に入れば、ただちに必要な措置を取る」。海保側は警告したが、市民らは「法的根拠を示せ」と反発。午後0時50分ごろ、「300メートル以内のカヌーを全て確保せよ」との命令と同時に、一斉に海保職員が強制排除し、身柄確保した。

 職員2人は、記者らが乗る抗議船「平和丸」にも乗り込んだ。船長らと押し問答の末、排除の理由として「今朝、山城さんが『台船に突進する』と言った。犯罪の未然防止のためだ」と説明。“注目発言”を瞬時にキャッチし、周到に準備していたと明かした。

 「300メートルの根拠は?」。記者の問い掛けに「現場の判断で設定した。海保法18条に基づきフロート外でも排除できる」と応じた。この日はフロートへの接近もままならない。「海保はフォーメーション(隊形)を組んでいた」。カヌー隊の一人は悔しがった。

 職員数人は別の抗議船「かつ丸」にも乗り込み、船上にいた山城さんらを取り押さえた。もみ合いで唇を切った山城さんは「ひどい暴力。めちゃくちゃだ」。職員はさらにエンジンの鍵を抜き、ハンドマイクが使えないよう電池を抜き取った。

 9日に約70人がフロート内に入って以降、海保の姿勢が強硬になったと市民は口をそろえる。

 この日、職員が市民の首に手を掛けて怒鳴りつける動画も出回った。13日に拘束された男性(21)も「今までゴムボート上でも自由にビデオが撮れたのに、無理やり止められた。正しいことなら堂々とすればいいのに、何を恐れているのか」と批判した。