「わが国は世界のどこも経験したことのない高齢社会を迎えている」-。内閣府が公表した2014年版「高齢社会白書」では、急速に高齢化が進む日本の現状を報告している。日本はすでに4人に1人が65歳以上である。60年には2・5人に1人が65歳以上となり、4人に1人が75歳以上になると推計する。

 これからの高齢社会の中心となるのは1947~49年生まれの、いわゆる「団塊の世代」である。その一番年下のの世代が今年、65歳となる。さらに2025年に団塊の世代は、75歳を迎える。超高齢社会の到来である。

 だがひとくくりに高齢者といっても、今の65歳以上の人たちは驚くほど若い。戦後日本の成長をけん引してきた主役でもあった。彼らによって、高齢社会の変革が実現するかもしれない。

 それを裏付けるデータがある。内閣府が団塊の世代を対象に12年秋に行った調査である。

 「何歳から高齢者と思うか」との問いに、最も多かったのは「70歳以上」の約40%で「75歳以上」と「80歳以上」を合わせると約80%に上った。団塊の世代の多くが、高齢者という意識にとらわれていないということだ。

 就労に関しても「働けるうちはいつまでも働きたい」と答えた人の割合が約25%と最も多く、「70歳まで」「65歳まで」と続く。「人生90年」時代と言われる中、現役を退いた人たちが、生きがいを持って生き生きと暮らせる高齢社会の実現こそが日本の将来を左右するといえよう。

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 一方、高齢社会の陰というべき深刻な現実がある。

 介護が必要な65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、介護を担うのも65歳以上という「老老介護」の世帯の割合は13年時点で51・2%と半数を超えたことが厚生労働省の国民生活基礎調査で分かった。

 厚労省の推計によると、65歳以上の認知症高齢者は12年時点で約462万人で、予備軍である軽度認知障害は約400万人に上る。認知症高齢者の行方不明は12年に約1万人に上り、350人余が亡くなっているという事態も明らかになった。

 6月に成立した地域医療・介護総合確保推進法は、介護サービス利用の自己負担の引き上げなど、サービスの削減や利用者の負担増を国民に強いるものだ。政府は12年、高齢者施策の指針となる「高齢社会対策大綱」を決定したが、安心して老後を送ることのできる社会保障制度の将来像が見えない限り、高齢社会の先行きは見通せない。

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 きょうは「敬老の日」。県内では100歳以上の高齢者が962人。昨年から39人増えて復帰後最も多くなった。

幾多の試練や苦労を重ね、社会の発展に寄与してきた人たちの長寿を祝いたい。

 住民同士の信頼関係や人間関係など人と人のつながりが社会資本であるという「ソーシャル・キャピタル」の概念がある。沖縄社会が本来持っている助け合いの精神とつながる。団塊世代が持つ豊富な知識と経験をこれからの高齢社会に生かしてほしい。