地方の問題に対する関心が低いとの印象を与えていた安倍政権が、来春の統一地方選を意識し、地方創生に向けた取り組みを加速させている。

 地方創生の司令塔となる「まち・ひと・しごと創生本部」の初会合で安倍晋三首相は、人口減少対策と地方の活性化を実現するため、「従来とは異次元の大胆な政策をまとめていく」ことを明らかにした。29日に召集される秋の臨時国会に地方創生関連法案を提出する予定だ。

 なぜ今、地方創生なのか。その背景にあるのは人口減少に対する強い危機感である。

 日本創成会議・人口減少問題検討分科会が5月に発表した消滅可能性のある自治体リストは、関係自治体だけでなく政界にも大きな反響を呼んだ。

 若年人口が減ることで地域経済の活力が奪われ、人口流出に拍車がかかる。全国知事会は7月、「少子化非常事態宣言」を発し、国・地方を通じた総合的な対策を求めた。

 人口減少に加えて、政府・自民党の中には、安倍政権の目玉経済政策である「アベノミクス」の恩恵が地方に届いていないという危機感もある。この二つの危機感が統一地方選を前にして結びついたのが地方創生構想である。

 しかし、現時点では懸念材料も少なくない。

 規制緩和を柱とする安倍政権の成長戦略と今回の地方創生は、政策的な整合性がとれるのだろうか。地方衰退の一因となった政策を温存しながら、地方の活性化をはかろうとしているようにもみえるのである。

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 地方創生が何を意味するのか、その具体的な中身はまだはっきりしない。地方への権限移譲を柱とする分権改革と地方創生の関係もあいまいだ。

 何よりも重要なことは、国が「上から目線」で画一的な政策を地方に押しつけるようなことがあってはならない、という点である。

 沖縄県は1人の女性が生涯に出産する子どもの数の平均を示す数値(合計特殊出生率)が全国で最も高く、人口の増加率も全国トップクラス。人口減少問題に対する深刻さの度合いは他府県と異なる。

 沖縄の場合、離島での雇用創出による人口流出防止と「格差と貧困」への対応が最も重要だ。少子化は、社会経済的な理由に基づく現象である。「非正規雇用のため給料が安く結婚に踏み切れない」「非正規雇用のため出産後の子育てに不安がある」と、ためらう若者も少なくない。

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 積年の課題であった失業率が改善されたとはいえ、非正規雇用が依然として多く、格差解消にはほど遠い。

 県経済が比較的順調に推移しているにもかかわらず、「格差と貧困」の問題が目に見える形で改善していないのはなぜなのか。雇用を拡大すると同時に、その質を改善し、全体を底上げするような政策が必要だ。

 地方の自主性を尊重し、内発的な発展の契機を引き出し、国として側面から支援するような持続可能な仕組みをつくることが求められる。