8月に東京都で患者が報告されて以来、海外渡航歴がない人にも感染報告が相次いでいるデング熱。全国どこでも発生する可能性があるとして、沖縄県もこのほど注意喚起を発令した。デング熱は蚊を媒介して広がる感染症であり「刺されないための対策」と「蚊を発生させない対策」が重要だ。対策について県健康長寿課結核感染症班の大野惇班長と、琉球大学大学院医学研究科の健山正男准教授に聞いた。(久高愛)

 デング熱はウイルスを保有した蚊が人を刺して感染する。媒介するのは蚊の中でも国内ではヒトスジシマカだけ。温暖な気候の沖縄では年中発生する蚊だ。

 刺されないために大野班長は「家から一歩でも外出する際は、長袖・長ズボン着用や虫よけスプレーの噴霧が重要」と話す。

■水たまりに注意

 一方、盲点となりがちなのが、蚊の幼虫であるボウフラを発生させない対策という。ボウフラは植木鉢やプランターの受け皿、屋外に放置された空き缶、古タイヤやブロックの溝などにたまる雨水で発生しやすい。

 大野班長は「それらに水がたまっていないかをチェックし、排水を心掛けて」と注意を促す。

 公園や空き地に積み上がったごみやタイヤなど、個人で対処できない場合には県や市町村の公園管理部門や保健所に相談しよう。

■風邪症状と同じ

 デング熱はこれまでも、海外へ渡航し、感染した人が帰国後に発症する例(輸入症例)が全国で年200件程度発生している。

 過去に輸入症例のデング熱患者を診察した経験を持つ健山准教授によると、デング熱を発症すると、関節痛、筋肉痛や倦怠(けんたい)感を伴う急な発熱におそわれる。治療は症状を緩和する対症療法が主体で、通常は1週間程度で軽快に向かうという。

 中には、感染しても発症しない例もある。健山准教授は「発熱は風邪の症状と変わらないため、発病に気付かずに治癒してしまった人もいるだろう」と、過去に相当数の輸入症例が見逃されていたと推測する。

 患者のうち約1%がまれに重症化する。重症化の可能性が高いのは、妊婦や15歳未満の若年者など。ただし健山准教授は「死亡率が高い国もあるが、日本での死亡報告はない」と冷静な対応を呼び掛ける。

 近年のデング熱発生の特徴として、媒介する蚊が常にいることや、人やモノの流れが国際化してきた点を挙げる。「デング熱を定着させないためには、各人ができる蚊に刺されない工夫やボウフラ発生の予防策などを徹底する意識改革が重要」と語った。