仲井真弘多知事が政府に求めている「米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止」について、菅義偉官房長官は今年2月が起点になるとの考えを政府として初めて示した。つまり、2019年2月を期限に運用停止に取り組むと明言した。

 ただし、具体的な道筋は示しておらず、現段階では「口約束」でしかない。

 発言から想定されるのは、まず、11月の知事選へ向け、辺野古埋め立てを承認した「恩義」がある仲井真氏を後押しする色合いが濃いということだ。

 5年以内の運用停止は、昨年12月に仲井真知事が安倍晋三首相に要請したものだ。だが、首相は普天間の危険性除去で「認識を共有している」と応じたものの、「5年以内」を確約したわけではない。

 起点をめぐっては、県や宜野湾市が普天間飛行場負担軽減推進会議が発足した「今年2月」を指すとの立場なのに対し、江渡聡徳防衛相は今月9日、「まだ決まっていない」と述べ、認識のずれを露呈したばかりだ。

 「沖縄基地負担軽減担当」を兼務してから初めて来県した菅氏の今回の発言は、ほころびをあわてて取り繕った感は否めない。

 日米は昨年4月、普天間飛行場の返還時期を「22年度またはその後」とすることで合意している。「5年以内の運用停止」に対し、米側は当初から否定的な見方を示す。

 19年2月までとの期限は、何の根拠もないリップサービスにすぎないのではないか。

    ■    ■

 仮に5年以内の運用停止が実現できたとしても、日米両政府が移設先としている辺野古の新基地が完成するまでの工期は約9年半と見込まれる。空白の期間、部隊をどこに移すのか。

 これまで具体的に挙がったのは佐賀空港だ。政府は7月に突然、米軍普天間飛行場のオスプレイの暫定移駐について、佐賀県に可能性を示した。

 菅氏はこの時、「本土においても、沖縄負担軽減のためにやれることはすべてやるべきだ」と移転の理由を説明していた。

 しかし、地元・佐賀の反発が大きく、米側も難色を示したことで、表明からわずか2週間余で見送りとなった経緯がある。

 本気で米側と交渉してまで沖縄の負担軽減を図ろうとの姿勢は見えない。

    ■    ■

 もちろん5年以内運用停止が実現できるのであれば、歓迎したい。ただ、辺野古の新基地が完成するまでの間、県外への暫定移駐が可能であるのなら、そもそも沖縄に新基地を建設する必要はないのである。

 米元国防次官補のジョセフ・ナイ氏も、中国の弾道ミサイルの発達で在沖米軍基地の脆弱(ぜいじゃく)性が高まっているとして、米軍は各拠点を巡回配備(ローテーション)すべきだと主張している。沖縄の「地理的優位性」は薄らいでいるのは明らかだ。

 沖縄基地負担軽減担当である菅氏には「普天間問題は決着済み」と開き直るのではなく、負担の現場である名護に足を運び、住民の声に耳を傾けてもらいたい。