バナナの皮で滑って、ひっくり返る「お約束ギャグ」。喜劇王のチャールズ・チャップリンは1910年代の映画で早くも取り入れ、笑いを誘っている

▼漫画サザエさんに描かれた昭和の風景をまとめた『サザエさんをさがして』(朝日新聞出版)によると、サザエさんは戦後の初輸入から間もない1948年11月には駅構内でバナナの皮で滑っている

▼「バナナの皮のギャグはいつ生まれたのか」-。『バナナの皮はなぜすべるか』(黒木夏美著)は1870年、ニューヨークでバナナの皮のポイ捨てを排除する「反オレンジの皮・バナナの皮協会」が結成されたと紹介している。実際に滑った光景がギャグに転じたのだろう

▼バナナの皮の摩擦係数を測定して実際に滑りやすいと証明した北里大の馬渕清資教授らがユーモラスな研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」に選ばれた

▼人工関節を研究する馬渕教授は「痛みの元になる摩擦を減らす仕組みはバナナの滑りやすさと同じ。実際に測定した学術的な研究はなかった」と動機を語っている

▼甘い香りの中、研究者が滑って計測したこともあったのだろうか。STAP細胞問題は、過度な成果主義が科学界にひずみをもたらしたと指摘された。地味なテーマでも真面目に取り組む科学者の快挙におかしみが湧き、ほっとさせられた。(与那原良彦)