10年ほど前、環境担当だったころにどうしても取材できなかった場所がある。保護された犬や猫が収容・殺処分される県動物愛護管理センター。担当3年の間に一度は行って現実を、と思いつつ「その時」を待つ姿を見るのが怖くて行けなかった

▼同センターの建て直しを発表した県の担当に「新しくするなら、せめてより苦痛の少ない方法の導入を」と言うのがやっと。その後を確認する勇気もないが、2012年度の県内の殺処分数は前年度より悪化した

▼犬2501、猫4103、計6604匹の命が“処分”された。多くは捨てられたり、放し飼いの末路。面倒が見られないと、わざわざ運び込む人もいる

▼人間にもさまざまな理由はあろう。だがそれは「本当に彼らの命を奪う程のもの」か。そう問いかけ、飼い主に翻意を促す先進的な取り組みが、熊本市で行われている

▼「熊本モデル」と呼ばれるそれは、飼い主を徹底的に説得して引き取り数を最小限にし、一方でボランティアや地域が譲渡活動を続ける地道なもの。説得に怒る飼い主もいたというが、13年度の処分数は13匹。03年度の1200匹の約1%だ

▼同市が目指す殺処分「ゼロ」は目前。やればできる、と簡単に言えぬ努力があったことだろう。見習うべきことが山ほどある。行政として、人として。(儀間多美子)