就任後初めて来県した江渡聡徳防衛相は23日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画を、11月の知事選の結果にかかわらず推進したい、との意向を示した。

 菅義偉官房長官が10日の会見で辺野古移設問題について「過去の問題だ」と述べ、知事選の結果にかかわらず新基地建設を進める考えを示したのと軌を一にする。

 菅官房長官はこの際、「最大の関心は(昨年末に)沖縄県が埋め立てを承認するかどうかだった」と指摘。知事の承認で「一つの区切りが付いている」との見解を示した。

 だが、これについては仲井真弘多知事も「むしろこれからだ」と述べ、認識ギャップを浮き彫りにした。

 11月の知事選は、1月の名護市長選や今月7日の名護市議選に続き、埋め立てを承認した仲井真知事の判断が民意を代表したものといえるのかが問われる。知事選までボーリング調査などの移設作業は中断し、民意の動向を見定めるのが筋だ。

 江渡氏は辺野古移設に関し地元の辺野古、豊原、久志の「久辺3区」の補償策の検討を事務方に指示していることを明らかにした。移設問題が最大の焦点となる知事選を控え、辺野古移設を前提にした補償策の議論が前面に出ることに違和感をぬぐえない。

 江渡氏は辺野古移設を「唯一の解決策」と強調し、移設作業が「順調」に進んでいるとの認識を示す。一方、県民の反対が根強いことには「承知している」と述べるにとどめ、意に介さないようだ。なぜそうなるのか。

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 17日に来県した菅氏は辺野古移設を「粛々と進める」と言及した。相次いで来県する閣僚は、辺野古移設に反対する稲嶺進名護市長や県民世論を置き去りにし、移設の既成事実化に躍起になっているようにしか映らない。

 江渡氏は仲井真知事との20分ほどの会談で「汗を流す」と10回も繰り返した。

 この中で、普天間飛行場のオスプレイの配備見直しは県外での訓練回数の増加を米側と交渉し、拠点整備を進めたい考えを示した。だが、記者会見でオスプレイを地元選挙区の三沢基地(青森県)で引き受ける覚悟を問われると、「私自身は可能であれば、と思っている」と前向きな姿勢を示す一方、「運用する米軍とも関係がある」と予防線を張ることも忘れなかった。

 江渡氏が汗を流そうとしているのは、「辺野古移設の推進」と捉えたほうが実態にそぐうのではないか。

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 「見たくない現実」に目を背け、移設強行に走るのは民主主義を否定する愚挙というだけでなく、「安保の安定性」の観点からも危うい。

 県が2012年に実施した県民意識調査で、在日米軍専用施設の約74%が沖縄に集中することに、7割超が「差別的だ」と回答している。

 安倍晋三首相は米国で国連外交を展開中だ。国連安全保障理事会の常任理事国入りへ布石を打つのが眼目である。国際社会の信頼を損なわないためにも、足元の沖縄で安全保障政策の脆弱(ぜいじゃく)ぶりを露呈するリスクは避けるべきだ。