今年4月、八重瀬町は認可保育所に入れない待機児童の数を「ゼロ」にした。

 前年4月には181人の子どもが待機となっていたが、保育所の新設など積極的な対応で、待機児童解消計画を策定する県内24市町村では初めて目標を達成した。

 まず取り組んだのは保育所2カ所の新設である。2年前に計画し本年度開園にこぎつけた。

 保育園の分園も2カ所で進め、うち1カ所が4月に受け入れを開始。新しく園舎を建てるのではなく、民間の建物を賃貸する方法で即応性を発揮した。

 既存保育園の定員増や定員を超えて入園を認める「弾力運用」も促進し、トータルで205人の拡充を実現させた。

 町児童家庭課は「法人保育園の協力も大きかった」と話す。園長会で待機児童の解消に理解を求めるとともに、保育士確保では、ネットワークを生かしてもらった。ハード面の整備とソフト面の支援、両方がうまく機能した。

 町では認可外施設を利用するなど待機児童にカウントされない「潜在的待機児童」が、まだ200人ほどいるとみている。その解消も視野に、分園の設置や増築など事業の前倒しを図っているところだ。

 保育所の定員枠拡大は町の財政負担を伴う課題でもある。那覇のベッドタウンとして人口が増える中、子育て環境の充実が、結果的に町の活性化につながる。そうとらえている。 

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 厚生労働省のまとめによると、認可保育所への入所を希望しても入れない待機児童は4月時点で2万1371人。前年より1370人しか減らず、依然、高水準にある。

 保育所の整備が進み、子どもを預けて働くことにした母親が増えたためと思われるが、潜在的な待機児童はさらに数十万人いるといわれる。

 県内の待機児童数は2160人。東京の8672人に次いで多く、待機率では全国一と深刻な状況だ。

 八重瀬のようにゼロになった自治体がある一方で、那覇市、沖縄市、宜野湾市、浦添市、糸満市といった都市部では待機児童が200人を超えている。増加のスピードに受け皿整備が追いつかない。

 所得が低く、子どもを育てながら働く女性が多いことや、認可保育所の整備の遅れから認可外に通う潜在的待機児童が多いなど、沖縄の特殊事情が背景にある。地域の実情に応じた柔軟な対応と公的支援の強化が必要だ。

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 安倍政権は2017年度までに保育の受け皿を40万人分増やす「待機児童解消加速化プラン」を掲げている。29日召集の臨時国会には、女性活躍推進法案も提出する。

 環境が整えば再び働きたいと考える女性は、これから増えるだろう。公的な保育へのニーズは高く、認可外から認可への転園を望む人も少なくない。

 潜在的待機児童の数をしっかり把握した上で対策を打ち出さなければ、問題は「いたちごっこ」を繰り返す。これまでにない大胆な取り組みで本気度を示してほしい。