臨時国会が29日開会する。安倍晋三首相は地方重視の姿勢をアピールするため、臨時国会を「地方創生国会」と位置づけ、「まち・ひと・しごと創生法案」(地方創生法案)の成立を優先する考えだ。

 昨年12月、超党派の議員連盟が議員立法で提出した「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」も、今国会で本格的に審議される。

 沖縄と関係の深いこの法案は「統合型リゾート(IR)推進法案」とも呼ばれる。要するに、「カジノ解禁法案」のことである。

 カジノを含む国際会議場、ホテル、娯楽施設などを一体として整備し、新たな次元で観光振興を図ろう、という趣旨である。

 県はカジノ誘致について、ある時期まで「県民のコンセンサス形成が前提」との立場を堅持していた。仲井真弘多知事の姿勢の変化が明確になったのは、安倍首相も出席した昨年12月の沖縄政策協議会のときだ。

 仲井真知事はホテル業界や商工会、中小企業団体などの根強い慎重論を押し切って、唐突に、IRの候補地に沖縄を入れるよう要請したのである。

 「手を挙げないと競争に負ける」と仲井真知事は主張する。知事が積極姿勢を示し始めたことで、県内では、カジノ誘致をあて込んだ本土大手資本や外国資本の動きが活発になってきた。

 だが、県民のコンセンサスが得られたとは、とうてい言えない。むしろ、問題点が浮き彫りになり、慎重意見が広がっているのが現状だ。

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 カジノを含むIR誘致によって雇用が拡大し、税収も増える。外国の富裕層が増えれば観光振興にとっても大きなプラスになり、経済効果は計り知れない-それが推進派の言い分である。

 しかし、よくよく考えなければならない。厚生労働省の研究班が昨年実施した調査によると、ギャンブル依存症の疑いがある人は全国で推計536万人に上る。

 ギャンブルを我慢することのできない「病的賭博」の疑いのある男性は成人男性の8・7%に達するという。現在でもそうなのである。

 特有の問題を数多く抱える沖縄でカジノが合法化されたらどういうことになるか。

 ギャンブルがらみの犯罪、家庭崩壊、治療に伴う医療費の出費、暴力団の介入やマネーロンダリング(不正な資金の洗浄)など、予想される社会的な損失を一体、誰が負担するのか。そもそもカジノでもうけるのは誰なのか。

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 沖縄はカジノを含む統合型リゾートの有力候補地になっている。名護市辺野古への新基地建設とカジノがセットになって動きだしている側面もある。

 沖縄を「ミサイルとルーレットの島」にしていいのか。今、問われているのは、この島の将来像だ。

 11月の県知事選は、辺野古移設問題だけでなく、カジノについても争点にすべきである。立候補者は、カジノ誘致の是非を分かりやすい言葉で語り、議論を起こしてもらいたい。