長野、岐阜両県にまたがる御嶽山(おんたけさん)が噴火し、訪れていた多くの登山者が火山灰や噴石による被害に巻き込まれた。

 警察や自衛隊などの捜索活動で、山頂付近に取り残されていた登山者のうち29日までに12人の死亡が確認された。また、同日、山頂付近で新たに心肺停止状態の5人を確認し、心肺停止状態の人は計24人となった。

 山頂付近での救助・捜索活動は、有毒成分を含む火山ガスに阻まれ、滞っている。ふもとでは多くの家族、友人らが安否確認の情報を待ち続けている。政府は二次災害の防止に留意しつつ、救助活動に全力を挙げてもらいたい。

 御嶽山の噴火は、2007年3月以来だ。気象庁は、国内にある110の活火山のうち、主要な47の火山に地震計を設置し、噴火の前兆を24時間、常時監視している。御嶽山もその一つである。

 御嶽山では、9月中旬から火山性地震が繰り返し観測されていた。しかし気象庁は、地殻変動などのデータに変化がなかったため、危険度を5段階で示す噴火警戒レベルは、噴火直後に「3(入山規制)」に引き上げるまで、最低の「1(平常)」に据え置いたままだった。

 気象庁は「噴火の前兆と判断することは難しかった」としており、噴火予知の難しさを示した形だ。また、気象庁では、火山性地震増加の情報を発表し、地元自治体に警戒を呼び掛けていたが、防災への活用には、明確な定めがなく課題が残された。今後、気象庁の警戒レベルの基準も含め、検証が必要だ。

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 なぜこのような被害を招いたのだろうか。

 火山研究者らで構成する火山噴火予知連絡会は、今回の噴火は、地下水がマグマで熱せられ、火口付近の岩石などを噴出する「水蒸気爆発」だったとの見方をまとめた。

 水蒸気爆発では、地下のマグマが上昇し起こる「マグマ噴火」とは違い、山が膨張するなどの前兆がないまま起きることが多いという。

 御嶽山は1979年10月に有史以来初の水蒸気爆発を起こしている。91年、07年にも小規模な噴火があったが、気象庁では「噴火が少ない火山のため、過去のデータが少なく、事前情報を出すだけの材料がなかった」という。

 噴火が少ないとはいえ活火山である。微妙な変動が検知されてもいた。たとえ「空振り」になったとしても、警戒レベルを引き上げ、関係機関が的確な防災計画に基づき、入山の自粛などを呼び掛けていれば、と悔やまれる。

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 国内の火山活動は、比較的静かな時期が続いたことから、観測や研究体制など火山防災対策は、地震など他の災害に比べて遅れているといわれる。しかし、日本は世界有数の火山国である。1991年には長崎県の雲仙・普賢岳で発生した大規模な火砕流で43人が犠牲になり、社会に大きな衝撃を与えたのは、いまだに記憶に残っている。

 地震や異常気象による豪雨災害などかつてない規模の災害が相次ぎ、対策は改善が進んでいる。火山防災対策も同様に強化すべき時だ。