夜ニュースを見ているとボゴタ川の汚濁が報じられていた。その川下では近くの住民が洗濯をし、家畜が草をはむ光景が映し出されている。ボゴタ川はコロンビア国の首都ボゴタ市の西を流れ、大河マグダレナ川と合流しカリブ海に向かう。ボゴタ市の東は3000メートル級の山々が連なり、そこを源に数本の小河川が街を横切りボゴタ川に注ぐ。街を流れる間に市中の汚れを集めていくのである。

 コロンビア共和国 面積113万9000平方キロメートル。人口4630万人(2010年・世銀)首都はボゴタ。主要産業はコーヒーなど農業や鉱業。1人当たりの国民総所得は(GNI)は6070ドル(11年・世銀)

研究室での納豆づくりを指導する外間数男さん(左)=ボゴタ市

 コロンビア共和国 面積113万9000平方キロメートル。人口4630万人(2010年・世銀)首都はボゴタ。主要産業はコーヒーなど農業や鉱業。1人当たりの国民総所得は(GNI)は6070ドル(11年・世銀) 研究室での納豆づくりを指導する外間数男さん(左)=ボゴタ市

 私の活動拠点は、キリスト教財団の運営する研究所。研究所では農業資材の研究開発や水質の調査研究を行っている。ある日、若い水質担当者に沖縄のエンサイが河川浄化に役立つことを話すと、かなり興味を持ち是非やりたいという。そこで沖縄にエンサイの種子送付を依頼したが、沖縄からの持ち出し禁止のため諦めざるをえない。

 他に何か良いのはないかと調べていると、納豆による水質浄化が出ている。しかしコロンビアに納豆があるか思い悩んでいたところ、ある青年海外協力隊員が冷凍保存した納豆を持っていることが分かり、納豆を利用した活動にかじを切ったのである。

 しかし、私の指導科目は土壌肥料。河川の水質浄化だけでは務まらない。納豆菌は有機物の発酵促進や植物病害の防除にも役立つといわれる。その多様な作用、特に水質浄化、発酵および生育促進、土壌病害防除を活動のテーマにすることにした。

 その後、コロンビアの稲わらを使って納豆作りをしたら、日本の納豆と同じものができた。研究員は、こんな臭いものが食べられるのかと半信半疑であったが、私が食べる姿を見て挑戦しようとし、口に入れた途端に吐き出してしまった。手についた臭いがとれないとぼやいていたのである。

 納豆菌による水質浄化や堆肥化促進、病害防除などのエビデンスは緒についた段階である。その検証はこれからであるが、研究所には水質分析のプロや微生物の専門家がそろっている。納豆菌の多様な活用を共同研究することで、納豆を懸け橋とした交流が深まっていくと思われる。

 ほかま かずお 琉球大学農学部卒業、県農業試験場支場長などを経てシニア海外ボランティア。2014年1月から16年1月まで地方開発財団(ボゴタ市)に配属。