琉球大学理学部の伊藤耕介助教らの研究グループは2日、台風の中心気圧や最大風速の予測精度を上げるプログラムを開発したと発表した。これまであまり考慮されてこなかった海面水温の変化を組み入れており、従来のプログラムに比べ誤差が最大40%小さくなるという。
海洋研究開発機構、気象庁の気象研究所との共同研究。台風は暖かい海上で蒸発した水蒸気の熱をエネルギー源とするため、海面水温は台風の強さに影響する。台風が通過すると海の中がかき混ぜられ海面水温が低くなるが、従来の台風強度予測では、考慮されていなかった。
グループは、現在気象庁が使っているプログラムに海面水温の変化を加え、2009年4月から12年9月に日本付近を通過した全ての台風34個のシミュレーションを実施。従来のプログラムに比べ、中心気圧は最大40%、最大風速は最大30%誤差が小さくなった。
伊藤助教は「より正確な強度予測ができれば、迅速な災害対策に役立つ」と期待。グループは、より精度を上げるため今後も研究を重ねるとしている。
研究成果は、米国気象学会出版の「Weather and Forecasting」デジタル版に9月2日付で掲載された。