女性の活躍を経済成長の原動力と位置付ける安倍政権は、開会中の臨時国会で「女性活躍推進法案」の成立を目指している。

 「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という、政権の目標を達成するための具体策である。

 法案の柱は、女性登用に向けた企業ごとの行動計画の策定と公表だ。

 従業員301人以上の企業に、管理職比率など数値目標を盛り込んだ計画の策定を義務付ける方向で話が進む。学生が就職先を選ぶ時の参考にしてもらうため、登用状況や制度などの情報公開も求めていくという。

 当初、政府は女性登用のための一律の数値目標を設定する予定だった。しかし「業種によっては女性が少ない」「経営戦略に関わる」など企業側の声に配慮し、各社ごとの目標設定に表現を弱めた。

 厚生労働省の13年度雇用均等基本調査によると、民間企業で課長級以上の管理職に占める女性の割合は6・6%。調査を始めた09年度からほとんど変わらず、先進国の中では著しく低い数値である。

 就業者に占める女性の割合は4割を超えているのに、これが「女性の実力」とは思えない。

 数値目標は企業の取り組みを示す一つの指標であり、女性の頑張りを政策的にバックアップするものだ。

 凝り固まった人事管理の枠組みを変えるには、時に荒療治も必要である。

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 民主党の海江田万里代表が、安倍晋三首相の所信表明に対する代表質問で、「子育てや介護に追われ、仕事との両立に疲れ果てている女性らに支援の手を差し伸べるべきだ」と迫った。

 政府が重視する「女性の活躍」から、これら女性たちへの視点が見えにくいからだ。

 実に働く女性の6割が第1子出産を機に仕事を辞め、非正規労働者の7割近くが女性という現実がある。

 子どもを保育所へ預けたくても待機児童の解消は進まず、男性の長時間労働が女性たちの家事・育児負担を強めている。

 女性を応援すると言われてもピンとこないのは、一握りのエリート女性と、そうでない女性との間で格差が広がるのではないかとの懸念があるからだろう。

 登用を後押しするだけでなく、安心して出産し働き続けられる環境も同時に整えなければ、かつて打ち出した「育休3年」や「女性手帳」のように女性たちからそっぽを向かれる。

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 女性が輝く社会に異論はないが、少子化で先細る労働力の一翼を担ってもらおうと経済政策の文脈で「女性の活躍」が、語られ始めたことに違和感を持つ人は多い。

 管理職3割の目標と並行して、すべての女性を底支えする戦略がなければ、女性たちは分断され、政策への理解も広まらない。

 法案の成否を握るのは経営陣の意識改革だ。

 計画に実効性を持たせるのは政権の強いリーダーシップである。