ダチョウは現存の鳥類の中で最大サイズ。羽が小さ過ぎて飛べないが足は超速い。暴風雨のときに砂地に頭を突っ込み吹きやむまでそのままじっとしている習性があるらしい。そんなダチョウの習性が米国では普通の会話に使われる。

 それは見ないふりをしているか、わざと否認し、真っ向から向き合って対処しない人(たち)の言動を指す比喩的表現だ。「わが子に限って」「うちの学校ではありえない」「まさか沖縄では起こらないさ」と客観視せず、あるいはできず、そのまま事なかれ主義の安堵(あんど)感に浸ったままの状態を「あれは(ダチョウのように)砂に頭を突っ込んでいる」と表す。

 それは家庭や学校、地域社会とどこでもあり、認識すべき事実を認識しないと結局、後悔してしまう。実は私にもこのダチョウの比喩に似た恥ずかしい話がある。

 この4月、例年通り私は初夏にゴーヤーやシシトウ、葉野菜などを植え付けるため、地ならしやプランターの準備をしていた。幅、高さとも約42センチのプランターには古い土がぎっしり。雪解けの水分も含まれていた。

 両腕に園芸道具を抱えていたため、古い土を取り除こうと右足で回し蹴り。プランターをかすめたため、次は右足で左方向へすくい蹴り。見事命中し、完全に古い土を取り除いた。作業の後、心は達成感で弾み、1人ではあったが、道場で仲間たちと修業しているように楽しかった。

 ところが翌朝、ベッドから起きようとしたら右膝に鈍痛を感じた。気にせず、サロンパスをペタペタ貼ってその日の日課をすませ、翌日の夜は道場へ。

 師匠の李先生をまねて、膝を直角に90度に曲げて姿勢を保つ騎馬立ちにも挑戦。このおばーもたまには直角にしようと一生懸命、ぐっと腰を下ろし、直角の位置にした瞬間、先生が私の騎馬立ちを褒めた。うれしかったが内心しまったとも思った。

 私が住むアメリカの東北部辺りは4、5月、ジャパン・フェスティバルやアジア祭りでにぎわう。私も4カ所で日本を代表して琉球文化の紹介、披露をする約束があった。

 4月上旬、上中段蹴りを何度もこなす空手踊り、4月下旬は孫や会員らとパーランクー、私は新春会で大太鼓をたたいた。ニュージャージー州では軍基地2カ所で400人を相手にスピーチと演武を頼まれた。

 ただ、練習中にも右膝にビリ!っと痛みが走る。冷せば歩けるのでパッチや痛み止めで立ち上がり、練習や演舞を続けた。

 5月下旬、膝が痛み医者に診てもらった結果、MRIとエックス線2枚撮った結果、膝(しつ)関節の半月板の軟骨に亀裂があるのが判明。医者は手術をせず運動療法を続け、自然治癒を勧め、私も同意。そしてこう言った。「自分の痛みによく耳を傾けなさい」

 菜園での出来事の後、私の行動はダチョウのように砂に頭を突っ込んだ状態だったのだ。いつか痛みは消滅し、後でそれは気のせいだった、と思いたかった。現実はそうではない。膝を見ながら後悔し反省している。(てい子与那覇トゥーシー・ニューヨーク通信員)