沖縄の民間大使とは、沖縄独特の歴史や伝統、習慣、豊富な文化などをボランティアで世界にアピールし、普及する使命がある。2006年、沖縄県知事が「新民間大使」として250人余を公式に認証した。沖縄をアピールしてきた海外の業績ある沖縄県人会会員や現地の人々で、県人会は11年のウチナーンチュ大会時点で世界に83組織に上っている。

エイサー太鼓で、てい子与那覇トゥーシーさん(左)の指導を受ける孫娘のエミさん(中央)とケイラさん=ニュージャージー州マウント・ローレル町

 ここニューヨークにも沖縄県人会を通して4人の民間大使がいる。私は1980年代から空手エイサーを振り付けて指導するグループをつくり、会員やウチナーンチュを対象に普及してきた。90年の初回ウチナーンチュ大会以降、空手エイサーで参加しており、民間大使には2006年に初めて認定された。

 それまではただ、沖縄に対する郷愁の念を癒やしてウチナーンチュ同志、互いにハッピーで充実しておれば、それで結構だと満足していた。

 しかし、現地の一般の米国人を対象に無料で太鼓やエイサーを教え、沖縄をアピールしていかないと、新民間大使として使命を果たしているとは言えないと思うようになった。いくら外国でもウチナーンチュの間だけで文化を普及しても、広がりを得ないような感じがするからだ。

 それで今年7月からまだ使える大太鼓3台、パーランクー21個を車に積み、特に空手道場へ出かけて教えている。空手大会などでは踊る前に5分ほど簡単に沖縄の歴史や伝統をスピーチすることも心がけている。道場で教えられている日本語の文字、発音なども訂正している。

 新民間大使としての自分の現在の活動を伝えたいと思っているのだが、なぜ今か。その心境になったのは理由がある。ようやく、ウチナーオバーとして「有言実行」の形になってきたからだ。

 県人会には、子や孫に太鼓や空手を習わせて、沖縄伝統を受け継がせている会員がいる。私はこうした子や孫がいる、説得力のある親やオバーたちが実にうらやましかった。なぜ自分にはそうしたことが起こらないのか、反省したり、工夫したり、四苦八苦して今日まで忍んで待ち続けてきた。

 それがついに、ケイラ(11)とエミ(9)の孫娘2人が太鼓踊りや空手踊りに興味を示し、エミは剛柔流の空手道場へ7月から通い始めている。

 ケイラは今年9月、空手大会の幕開けで「海ヤカラ」などを披露した。主催者は沖縄の伝統芸能の美と力を披露し、伝統を孫に教えていることにも感動したと話してくれた。ケイラは次に大太鼓に挑戦するつもりだ。

 エミは「回転するのが難しかったが、これからも太鼓踊りが披露できるようにもっと練習します。おばぁちゃんが沖縄の踊りを教えてくれます。ニューヨーク市内で沖縄のほかの太鼓踊りを見たことがあり、すごいと感動しました。近い将来、沖縄へ行きたいです」と話している。

 ケイラは「妹とおばぁちゃんと一緒に披露でき大変楽しかったです。クールな歴史があるユニークで美しい島々の沖縄文化を、ほかの人たちと分かち合えるのが大好きです。将来もまたこの太鼓踊りを披露できたらと望んでいます。衣装は非常に着ごこちが良く大変気に入りました」。もっと練習を続けると意気込んでいる。

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 本紙海外通信員のてい子与那覇トゥーシーさんが、長年の海外生活を通して感じた沖縄への思いをつづります。

 てい子与那覇トゥーシー 1941年生まれ。名護市出身。モーニング・スター米新聞社勤務後、64年に渡米。ニューヨーク沖縄県人会会長。