太陽光など再生可能エネルギーの普及にブレーキがかからないか懸念が募る。電力会社が、再生可能エネルギーの買い取りを中断する動きが広がっているからだ。

 九州電力が9月25日から固定価格買い取り制度に基づく契約の受け付けを中断した。北海道、四国、東北の各電力会社も同様に買い取り契約の手続きを中断。沖縄電力は、太陽光発電の接続を申し込んだ世帯のうち、8月8日以降の申し込み分が「接続可能量」を超えたため、接続できない状況になっていると発表した。

 九州電力などによると、電力の安定供給には需要とのバランスを保つ必要がある。しかし、太陽光発電の急増で、供給力が需要を大幅に上回ると需給バランスが崩れ、安定供給に支障が出る可能性があるという。

 そもそも、政府が2012年7月に再生エネルギーの固定価格買い取り制度を導入したのは、東京電力福島第1原発事故を受け、原子力や化石燃料に代わる再生エネルギーの普及を図ることが目的だったはずだ。

 そのため、太陽光などで発電した電力を政府が定めた価格で一定期間、電力会社が全量を買い取るよう義務づけ、普及を促進するため買い取り価格を高めに設定した。太陽光発電の急増は、その効果が表れたものだともいえよう。

 にもかかわらず制度導入から、わずか2年で大きな壁に突きあたったのはなぜか。再生エネルギー受け入れに必要な送電網強化など環境整備を怠ったためではないか。制度設計も含め、国の見通しの甘さが招いた事態である。

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 これを受けて政府は、固定価格買い取り制度の改定に乗り出した。小渕優子経済産業相は「再生エネルギーの最大限の導入に向け、あらゆる角度から検証する」と述べた。

 具体的には年間の買い取り量の上限設定、買い取り価格の水準や算定方法の見直しなどが軸になる見通しだ。だが、これまで順調に進んできた再生エネルギー普及に水を差すようなことになってはならない。

 送電網や蓄電池の整備に要する費用負担をはじめ、電気料金に上乗せする賦課金の適正化など課題は残る。一方、電力システム改革で電力融通を担う広域的運用機関が来年4月から業務開始する。今後、電力小売りの自由化や発送電分離などを目指す。こうした改革を送電網の増強などに生かし、効率的な制度見直しにつなげることが必要だ。

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 固定価格買い取り制度を受け参入した太陽光発電事業者などへの影響も懸念される。電力会社には、積極的な情報開示と今後の対応を含めた丁寧な説明が求められる。

 安倍政権はエネルギー基本計画で、再生エネルギーの導入加速を掲げ、水力を含む再生エネルギーの割合を現在の1割から2割以上の水準に増やす目標を設定している。

 地球温暖化対策の観点から再生エネルギーへの転換は世界の潮流である。安倍政権は、脱原発の姿勢を鮮明にし、再生エネルギー推進の具体的な道筋を示すべきだ。