「本当に何もないところです」。今帰仁村をPRしようと取材した際、観光協会の事務局長が自嘲気味に語った。同協会作成のポスターの文句は「ぬーん ねんしが 今帰仁村」。開き直り具合が痛快だった

▼デパートやきらびやかな観光施設など、他の地域と比較して「これがない」を出せばいろいろだ。しかしやんばるでも数少ない基地のない自治体。生臭い政争に巻き込まれず、人々が安心して過ごせるのは財産のはず

▼「何もなさ」に価値を見いだす人もいる。美しい自然を背景に使うため、同村はドラマや映画の撮影地としても人気だ。聞くうち、これは言葉通り「何もない村」では書けないぞ、の思いに変わった

▼それを証明するように、先週末、沖縄タイムス本社で開かれた「ふるさと元気応援企画・まるごと今帰仁」は大盛況だった。スイカなどの特産品だけでなく、現代版組踊や地域芸能など舞台も好評で、キャンセル待ちも出た

▼「伊江村」「本部町」「東村」に続き、やんばるから4カ所目のフェア出展。他もそうだが毎回、県内各地の地元郷友会メンバーや多くの人々が駆け付ける

▼地方再生が叫ばれる中、どの地域にもそこにしかない魅了が必ずある、と実感する。公共工事だけに頼らず、地元の良さを掘り下げ、堂々とPRし磨き上げれば、地域の力は増す。(儀間多美子)