一般眼科診療所を長年していると、思わぬ症例に出くわすことの経験が蓄積されてきます。病気を見逃してしまった苦い経験や他の専門科へ紹介して治療後軽快して感謝される事などが増えていきます。そして、想定外が決して想定外ではなく経験と知識不足の結果だと理解するのです。

 それでは私が経験したいくつかの症例を紹介します。白内障を手術して問題なく過ごしていた患者さんが、目の奥が少し痛いことがあると訴えました。つらい様子は全く無いようでした。心配ないと思いますが、念のため脳神経外科で検査してみたらどうですかと言ったかどうか覚えていませんが、数カ月後、その患者さんが「おかげさまで、脳動脈瘤(りゅう)が見つかり、手術して今は何ともありません」と感謝されました。

 さて、次の症例です。50代の美容師さんですが、かすみがあるとの訴えで眼科を受診しましたが、疲れ目でしょうと診断されたとのことです。しかし、かすみは変わらず当院へ相談に来られました。

 話をよく聞いてみると、両眼とも外側の視野がボヤケているとのことでした。結果を先に言いますと、下垂体腫瘍でした。一般の人は下垂体と言ってもわからないと思いますが、発見が遅れると失明する病気です。ポイントは両外側の視野がボヤけることです。心当たりの方は是非、眼科と脳神経外科を受診して下さい。

 さて次も視野の異常から診断された症例です。普段から糖尿病性網膜症があり、視力が不良の方です。通院している眼科ではかすみがひどくなっていると訴えても視力そのものは変わりないので、特に治療の変更は無かったとのことです。話をよく聞いてみると左側が見にくいようでしたので視野検査をしたところ両眼とも左側が見にくい左同名半盲で、脳梗塞を疑い紹介したところ、動脈が詰まっているとのことで脳神経外科病院で血流を良くする治療をするとの報告を受けました。先入観にとらわれずに治療の方針を見直すことは大事だと教えられた症例でした。と同時に過去に何人も見逃したのかもしれないなと思うと冷や汗が出ます。

 その他にも、まぶたが下がる眼瞼(がんけん)下垂が筋無力症の初期の症状として表れることもあります。光が眼前で点滅してかすむ病気がありますが片頭痛の関連症状ですので、脳神経外科や神経内科、あるいは頭痛外来などで診断、治療を受けるとよいでしょう。(外間政利 外間眼科)