「パキスタンで私には二つの選択肢があった。沈黙したまま殺されるのを待つか、声を上げて殺されるか。私は後者を選んだ。学校で学びたかったからだ」

▼ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん(17)の会見での一節だ。授賞が重荷にならないかとの大人たちの心配をよそに、数々の確信に満ちた言葉を発信した

▼昨年の国連でのスピーチと合わせ、語録集ができそうな勢いである。2年前、凶弾に倒れた後も死をも恐れぬ言動に、教育者である父の多大な影響が見て取れた。が、自伝『わたしはマララ』を読むと、それだけに収まらない

▼妻帯の高齢男性の妻として10歳で売られた知人女性の境遇に疑問を持ち、好きな男の子がいる少女(15)が家族に毒殺された「名誉殺人」に憤る。ごみの山で働く子どもたちを父の学校に無料で通わせてと懇願する

▼女性にとって理不尽な社会であることを10代前半で身近に知りすぎており、発する言葉は血肉の結晶だ。将来は政治家になりたいという希望に、生い立ちは違えど女性の環境が似るインドの元盗賊で国会議員、40代前半で射殺されたプーラン・デヴィさんの無念を思う

▼国際社会が沸く平和賞受賞がマララさんの命を守り、夢につながるものであってほしい。1冊の本、1本のペンを持つ大勢の女の子が後ろに居るのだから。(与那嶺一枝)