【久米島】台風19号の高潮で、久米島町内3カ所の車エビ養殖施設のいけすなどが破壊され、エビ30トン以上が海に流されていたことが14日までに分かった。台風が接近した11日夜、高潮と大潮の満潮時刻が重なり異常潮位が発生したのが原因とみられる。町役場によると、被害総額は約3億4千万円に達する。今月下旬から、エビの出荷を始める予定だっただけに、業者の落胆は大きい。

高潮で、めくれ上がった車エビいけすの壁面=14日午後、久米島町宇根・久米島漁業協同組合の車エビ養殖場(比嘉正明通信員撮影)

 町宇根の久米島漁業協同組合の養殖場では12日午前、職員が被害状況を点検した際、コンクリート製いけすの壁面に、波の衝撃で数百メートルにわたり亀裂が入り、海面から約2メートルもめくれ上がっている場所も確認した。宮里真次参事は「修復するのに約2億円かかるとみている。現時点では、被害の大きさを把握できない」と話す。我謝政賢場長は「送水管、電気設備も壊れた。いけすの車エビが、どうなっているか心配」と声を落とした。町阿嘉の養殖業者・エポックの山城龍美副社長は「電気設備の復旧や施設内の掃除、いけすに入った漂流物を取り除く作業に追われた。エビの流出総量は、まだ分からない」と話した。

 沖縄県農林水産部は「今回のような規模の施設破損やエビの流出は、初めてではないか」という。13日、現場を視察した大田治雄久米島町長は「コンクリート製のいけすが、壊れるぐらいの大波だったとみられる。県と連携し養殖業者の支援策を検討したい」と話した。

 町は国内有数の車エビ生産地で、年間約210トンの出荷量を誇る。車エビ生産総額は年間約9億4千万円で、島の基幹作物のサトウキビよりも多い。

■沖縄県内の農林水産被害8億円超

 沖縄県農林水産部は14日、台風19号の農林水産物被害総額(速報第1報)が約8億6500万円に上ったと発表した。沖縄本島や大東島などでサトウキビの被害が目立った。このうち、久米島町内の車エビ養殖施設の被害額は3億4千万円と見込まれる。林業や水産業、畜産業の一部で調査中のため、被害総額はさらに膨らむ可能性がある。

 サトウキビの被害額が最も大きく2億9124万4千円で、本島南部が、1億6396万8千円を占めた。

 野菜の被害額は1億860万5千円。他に、キクやドラセナなどの花卉(かき)で9145万円の被害があった。

■電話やネットは2700件不通

 NTT西日本によると、台風19号の影響で14日午後3時現在、県内の家庭や事業所2700件で電話やインターネットが不通になっている。宜野湾市以南で1600件、北中城村から恩納村で750件、名護以北で350件。