沖縄戦で消失した首里円覚寺の仏殿に安置されていたとみられる二つの牌(はい)が、沖縄県立博物館・美術館内に保管されていることが14日までに分かった。国立沖縄工業高等専門学校総合科学科の下郡(しもごおり)剛准教授(日本史・琉球史)が確認した。戦火で失われたと考えられていた文化財で、下郡准教授は「円覚寺を復元する際などに役立つ貴重資料」と話している。

県立博物館・美術館の所蔵庫内で確認された首里円覚寺に安置されていた火徳牌(沖縄高専総合科学科・下郡剛准教授提供)

 同牌は、臨済宗の寺院で本尊前に置かれることが多い三つの牌(火徳(かとく)牌、今上(きんじょう)牌、檀那(だんのう)牌)のうちの二つ(火徳牌、檀那牌)。火徳牌は寺を火の災厄から守るため、檀那牌は檀家(だんか)や施主の機運が上がるよう願いが込められているという。

 2牌は木製。火徳牌は全長66センチ、最大幅の台座部分が21・5センチ。檀那牌は牌の上部が無くなり、台座部分に須弥(しゅみ)壇(本尊の安置場所)の一部が付いている。

 県内寺院の牌を調べていた下郡准教授が、7日に県立博物館内で調査。琉球文化研究者の鎌倉芳太郎が戦前撮影した円覚寺の写真に三つの牌が写っており、文字の特徴や寸法から、県立博物館に保管されている二つが現物と確認した。同館によると、2牌は1953年5月、同館の前身だった首里博物館が受け入れたが、どのような経緯で収蔵されたかは不明という。

 下郡准教授は「仏殿や本尊は寺の心臓部。今後、円覚寺の復元作業などの際に現物の資料があるのは貴重であり、大きな指標になると思う」と話している。