国の機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法の運用基準が閣議決定された。

 国民の知る権利や報道の自由に対する懸念が払拭(ふっしょく)されないまま、12月10日の施行が迫る。 

 運用基準では、特定秘密に指定できる対象を防衛、外交、スパイ活動防止、テロ防止の4分野で55項目に細分化する。潜水艦や航空機、武器・弾薬の性能、電波や衛星を活用して収集した情報や画像、外国政府や国際機関から提供された情報などが列挙される。

 「必要最小限の情報を必要最低限の期間に限り指定する」との留意事項を明記するものの、盛り込まれた項目には「自衛隊、米軍の運用、これに関する見積もり、計画、研究」など、あいまいな文言が多く、意図的な情報隠しを否定できない。

 焦点とされた秘密が適切に扱われているかをチェックする機関は、府省庁の事務次官級でつくる「内閣保全監視委員会」を新設するほか、内閣府に審議官級の「独立公文書管理監」、その下に「情報保全監察室」を置くとする。

 一見、二重三重に歯止めがかかっているように見えるが、いずれも行政内の組織だ。大臣が指定した秘密を、官僚がチェックできるのか、その独立性は疑わしい。

 結局、「国の安全保障に著しい支障を与える恐れがある情報」を特定秘密とする法律の規定を盾にすれば、政府の裁量で秘密の範囲は際限なく広がる。

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 今回、運用基準の決定を前に2万3820件もの声がパブリックコメント(意見公募)に寄せられたことを忘れないでおきたい。すでに成立した法律をめぐって、これだけたくさんの声が集まるのは異例である。

 「時の政権によって恣意(しい)的な運用が可能だ」とする秘密指定への指摘や、「政府から独立した機関であるべきだ」などチェック機関に対する提言もあった。

 政府はこれら意見を踏まえて運用基準を修正したと強調する。しかし法の骨格部分の問題は残された。

 結論ありきの手法へ不信感は強まっているが、パブリックコメントにぶつけた危機感を、法施行後も持ち続けることが大切である。

 秘密法は運用次第で、情報の開示義務、政策の説明責任から役人を解放し「官僚国家」の道を開くことにもつながる。

 法律がどのように使われていくのか、監視を続けよう。

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 昨年12月、安倍政権がなりふり構わず、数の力で強行採決を繰り返し成立したのが特定秘密保護法だ。

 秘密法は第2次安倍内閣の防衛政策の流れの中にあって、米国の国家安全保障会議(NSC)をモデルにした日本版NSCの設置、武器輸出三原則の撤廃、集団的自衛権の行使容認の閣議決定、自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米ガイドライン改定に向けた取り組みなどと密接にからみあっている。

 その先にあるのは、米国と一体となった「戦争のできる国」への転換である。