エボラ出血熱の感染が西アフリカから米国やスペインといった先進国に飛び火する中、沖縄県内でも保健所への防護具配備や医療機関との連携など対策が進められている。県や保健所の担当者らが県庁で開いた17日の会議では、西アフリカから帰国後に発熱を訴え9月に県内の病院を受診した男性の事例を通して危機感を共有した。結果的に熱帯熱マラリアと診断されたが、当初はエボラ熱流行地の渡航歴が確認されないまま診察を受け、接触した事務員や看護師、当直医に感染する可能性もあり、初期対応への課題が浮上した。(溝井洋輔)

エボラ出血熱疑い患者が発生した場合の流れ

 県内の事例は国立感染症研究所が全国の医療関係者らに注意を喚起するため16日付で速報としてホームページで発表した。

 男性は、県内在住の60代で、エボラ熱流行地である西アフリカに10カ月間滞在した後に帰国。10日後に、県内のかかりつけ医院を受診し、3日後に別の病院を受診した。

 病院は当初、症状からマラリアの可能性が高いと考えていたものの、流行地への渡航歴が分かったのは診察室で医師が聞き取りした後。確定診断が出るまで感染対策となる防護具の着用や血液検査での感染リスクなどが課題に挙げられた。

 中頭病院感染症内科の新里敬(たかし)医師は、海外渡航歴を最初に把握して治療の優先順位をつける大切さを再認識したと強調。「感染症の指定医療機関でなくても渡航者が来院する可能性がある。エボラ熱以外の感染症も同じだが、重篤な疾患が含まれるかもしれないときは、別のルートで(隔離して)対応しないといけない」と指摘した。

■県内保健所に新防護具 感染症指定2施設

 沖縄県のエボラ出血熱対策は、厚生労働省が各都道府県に手続きの再確認を求めた8月上旬から急ピッチで進められている。県医師会や感染症指定医療機関、県病院事業局、保健所など関係機関に国の情報を通知しながら、感染の疑いがある患者の搬送方法や血液など検体を送る手続きを確認。エボラ熱に対応する新たな防護具を9月上旬までに、各保健所に配備した。

 感染の疑いがある患者の搬送先は、県内では感染症指定医療機関である県立南部医療センター・こども医療センターと琉球大学医学部付属病院の2施設。搬送専用の車両やカプセル型の担架、ストレッチャーの作動点検も済ませた。

 県内ではエボラ熱の検査は実施できない。検体を送る手続きでも感染の可能性があり、その手続きも再度確認した。指定医療機関で採取した後に保健所が県衛生環境研究所に搬送し、国立感染症研究所に送付する。県は那覇検疫所との情報交換も続けている。