「政治とカネ」の問題がまた、表面化した。第1次安倍内閣がそうであったように、政治資金をめぐるスキャンダルは、内閣を窮地に追い込む場合がある。過去の苦い経験で懲りたはずなのに、懲りない面々が後を絶たないのは一体、なぜなのか。

 9月の内閣改造で2度目の入閣を果たしたばかりの小渕優子経済産業相が、「政治とカネ」をめぐる問題で、辞任の意向を固めたもようだ。

 小渕経産相は、内閣改造の目玉だと位置づけられた5人の女性閣僚のうちの1人。自民党内では「将来の総理候補」と言われていた。仕事らしい仕事もしないまま就任1カ月余りで辞任することになれば、安倍政権への打撃は計り知れない。

 小渕氏の政治団体「小渕優子後援会」と「自民党群馬県ふるさと振興支部」が2010~11年にかけ、東京・明治座で支持者向けの観劇会を開いた。両団体の会費収入が合わせて約742万円だったのに対し、支出は合わせて約3384万円。収支の差額約2642万円を小渕氏の政治団体が負担していた場合、有権者への利益供与を禁じた公職選挙法に触れる恐れがある。

 観劇会は12年にも開かれているが、どういうわけか両団体の収支報告書にこの時の記載はなかったという。いかにもずさんである。

 小渕氏は17日の衆院経産委員会で「わたしのほうで補填したということになれば法律にひっかかる認識は持っている」「知らなかったでは済まされないという思いだ」と自らの責任を認めた。

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 小渕氏の政治資金をめぐる疑惑は、親族企業にも及んでいる。

 同氏の資金管理団体「未来産業研究会」の収支報告書には、政治活動とはかけ離れた首をかしげたくなるような支出が目立つ。

 乳幼児向け用品3点で計1万4千円余り。銀座にある百貨店の子供・玩具売り場で約7万5千円。群馬県の農家から購入した特産の下仁田ネギ代として61万1510円…。 「未来産業研究会」は、小渕氏の実姉の夫が経営する服飾雑貨店や、実姉のデザイン事務所に対し、12年までの5年間に組織活動費から38回計362万円を支出していたことも分かった。

 これだけの疑念が表面化した以上、小渕氏は何よりもまず、事実関係を早急に調査し、説明責任をきちんと果たすべきである。それが先だ。

 第2次安倍内閣の「政治とカネ」をめぐる疑念は小渕氏だけにとどまらない。

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 松島みどり法相は12年から14年にかけて、自分の選挙区で、名前と肩書の入ったうちわを大量に配布した。公職選挙法は、選挙区内の有権者に対する寄付行為を禁じており、民主党は17日、松島法相を公職選挙法違反の疑いで東京地検に刑事告発した。

 江渡聡徳防衛相の政治資金をめぐる問題も、政治資金収支報告書の記載ミスだったとして報告書を訂正したが、疑念が晴れたとは言いがたい。

 政権運営に対するおごりが、このような結果につながっているのではないか。