本屋が消えている。北海道から沖縄まで全国の書店を紹介する「本屋図鑑」(夏葉社)の著者・島田潤一郎さんは、取材しながらも次々と本屋が閉店していくことに危機感を募らせる

▼インターネットの普及は、デジタルという仮想空間を人に提供したのにとどまらず、実存の街にも影響を及ぼしている。本のネット購入が増えるのに伴い、町の「本屋さん」を見かけなくなった

▼ふと見渡せば、30年前、小学生のころあった小さな文具店や雑貨店、さしみ屋も姿を消している。それらの店と共に町が失ったのは、うちなーぐちで「あちねー」といわれるコミュニケーション。「ゆらりあちねー」とも使われ、直訳すると「怠ける商い」

▼おしゃべりしながら商談を進めることで、町の店にあってネット購入にはない対面販売の特長を表現する言葉だ。そんな良さを思い出してもらおうと18日、那覇市牧志のさいおんスクエアで古本市がオープンした(19日まで)

▼県内8店舗が出店する屋外市場は初日からにぎわいをみせていた。店主に「何でもない日常を描きながら文章が秀逸」と紹介され、私も女性作家の小説を1冊購入した。小説を読むのは久しぶり

▼予想しなかった本との出合いも、あちねーの魅力だ。失いつつあるコミュニケーションの良さを再確認した読書の秋。(黒島美奈子)