西アフリカを中心にエボラ出血熱の感染が拡大している。先進国にも飛び火し、米国とスペインでは、患者の治療にあたっていた看護師らへの二次感染が確認され、不安が広がっている。

 オバマ米大統領は先月の国連総会で「地球規模の安全に対する脅威だ」と、各国の緊急対策を呼び掛けた。国際社会は、感染拡大防止と事態の収束に向けて結束して対応しなければならない。

 世界保健機関(WHO)の報告によると、エボラ出血熱の感染者(疑い例を含む)は、14日までに米国とスペインを含む世界7カ国で9216人に達し、うち4555人が死亡した。

 昨年12月に西アフリカのギニアで始まったエボラ出血熱の流行は、リベリアやシエラレオネなど周辺国に拡大。8月上旬にはWHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したが、感染者、死者数ともに拡大の一途をたどっている。

 米疾病対策センター(CDC)は、封じ込め対策が強化されなければ感染者数は2015年1月までにリベリアとシエラレオネだけで最悪の場合140万人に達するとの推計を公表した。

 国連安全保障理事会も「国際社会は適切に対処することに失敗している」との声明を発表し、感染拡大の速さに対応が追いついていないとの危機感を示した。

 米国は流行地域の治療施設建設などのため最大4千人を派遣する方針だ。日本も国際社会の一員として支援に全力で取り組んでもらいたい。

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 エボラ出血熱は、ウイルスによる急性感染症で、コウモリが宿主とされる。空気感染はしないが、患者の血液や汗などに触れることで感染する。ワクチンや有効な治療法はなく、致死率は最悪の場合、90%に達する。

 感染症の流行の背景には、アフリカの貧困がある。流行地域のリベリア、シエラレオネ、ギニアは世界最貧国リストに名を連ねている。農業が未発達の貧しい地域では野生動物を重要なタンパク源としており、ウイルスに感染したサルを食べることで感染するとみられている。

 一方、治療薬やワクチンの開発が進まないのは貧困層を対象にした新薬開発の「市場価値の低さ」がネックになっている。識者からは、日本の新薬開発能力を生かし、官民パートナーシップという形で、途上国の課題に貢献することが日本の役割である(19日付朝日新聞朝刊)との指摘がある。政府は、検討に値する提案と受け止め行動するべきではないか。

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 もはや日本でも遠い国の話ではない。上陸した場合どう対応するか、政府は十分な対策を講じておくべきだ。

 県内では9月、西アフリカに滞在歴のあった男性が帰国後に発熱し、県内の病院を受診。結果的に熱帯性マラリアと診断されたが、当初は渡航経験が確認されないまま診察を受けており、初期対応の課題が浮き彫りになった。あらゆる事態を想定し、適切に対応できるよう早急に態勢を整えなければならない。