彼らはどこにいて、どこを歩き、帰ったのか。わずか数人の院内感染者の行動ルートを追跡し、学校や職場にも確認して割り出したのは523人。8年前、県内ではしかが発生した際、患者と接触した人を捜し出す様子をリポートした

▼当時、患者が集中したのは本島北部。県外から戻った高校生が、発熱で来院したのが始まりだった。はしかが疑われてすぐに個室に移されたが、数日後に6人の二次感染者が出た

▼福祉保健所や県立病院の関係者は、患者とじかに接触のない人にまで広がる三次感染を防ぐため「接触者リスト」を作成。毎日、体調を確認して切り抜けた

▼わずか一日で地球の裏側まで行ける現代。感染力の強い病の拡大を抑え込むのは大変だ。本島北部という狭い地域でさえ、瞬く間に数百人もの接触者が出る。それが世界規模となれば事態は深刻だ

▼今、拡散が懸念されるエボラ出血熱をモデルにした「アウトブレイク」は20年前の映画。主演のダスティン・ホフマンが厳戒態勢の中、物々しい防護服でウイルスに挑む姿が現実となってしまった

▼県は先日、西アフリカから帰国し、県内の病院を受診した男性の例を通して対策会議を開催。搬送方法を確認、新防護具を配備し警戒を強めている。油断は禁物だ。経験と知識を総動員し、水際で食い止めてほしい。(儀間多美子)