在日米軍基地の環境調査に関する補足協定に「実質合意した」と、日米両政府が発表した。日本側関係者の基地内立ち入りについての手続きなどを定める内容で、安倍晋三首相は、早期に正式署名したいとの考えを示している。

 実質的には前進がないにもかかわらず、交渉を進めている最中に、あいまいな内容を、両政府の共同発表という形をとって麗々しく報告したのはなぜか。

 その疑問にあけすけに答えてくれたのは「埋め立てを承認した仲井真さんを孤立させないよう、政治的環境を整える手段」(21日付本紙)だという政府関係者である。中身がない以上、11月の県知事選に向けて仲井真弘多知事を応援するための政権の演出ととられてもしかたがない。

 日米地位協定には、環境に関する条項がない。住民の生命や安全に関わる問題であっても、自治体は米軍の許可なしに基地内に立ち入ることができないのだ。

 昨年8月、宜野座村のキャンプ・ハンセンで起きたヘリ墜落事故では、県や村が立ち入り調査を実施したのは、その7カ月後だった。

 補足協定は、環境事故(漏出)が発生した場合や返還に向け現地調査が必要になった場合の立ち入りの手続きを定める予定である。 

 しかし共同発表からは、「環境事故」をどうとらえるか、日本側にどれだけの調査権があるのか全く分からない。

 「環境事故」を狭く設定し、軍事機密を盾に必要な調査を拒めば、協定は骨抜きになる。

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 地位協定の見直しでは、県、県議会、市町村議会、軍転協、渉外知事会、日弁連など、県内外のさまざまな団体が要請を重ねてきた。とりわけ重視するのは「環境条項の新設」である。

 宜野座のヘリ墜落事故では、現場に近い大川ダムの水質への影響が懸念され、村は直後から1年余りも取水停止を余儀なくされた。環境問題にはフェンスがないからだ。

 協定には、米軍が日本の環境管理基準(JEGS)を維持するとの規定も盛り込まれる。日米の環境法令のより厳しい基準を選択するというものだが、このことはすでに2000年に日米間で確認されている。

 問題はJEGSが基地内で十分機能していないことと、基地内の環境保全措置についての情報公開が不十分だということだ。協定に盛り込むだけでは前進とはいえない。

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 オスプレイ配備の際、日米両政府は、夜間や人口密集地で飛行をしないことで合意している。だが米軍の「運用上必要」の一言で約束は何度も破られてきた。

 環境協定も全てはこれからだ。問われるのは実効性である。

 米軍は地位協定3条によって基地の「排他的管理権」を持つ。新しい協定で日本側の立ち入りを認めるのであれば、環境事故の届け出、調査、処理など一連の手続きは、日本の国内法に従うと明記してもらいたい。

 日米両政府だけで決める問題ではない。地元の声を反映させた協定であるべきだ。